【数珠の買い方・選び方】数珠の意味や疑問にわかりやすく紹介します

仏教

お葬式や法事など、仏事のときにかかせないものが数珠です。

一般的に仏事に参列するときには、数珠を持つことがマナーとされています。

しかし、数珠には多くの種類があり、何を選んだらいいのかわからない場合が多いのではないでしょうか。

ここでは、数珠の意味や買い方、数珠に関する疑問を紹介します。

数珠の意味

数珠は「数」の「珠」という字を書くように、数を数えるために使われるものです。

インドでは、数珠を用いて神様やマントラ(真言)の数を数えるために数珠を使いました。

また数珠は「念珠」ともいわれるように、数を数えながら心に神様や仏様を思い描き、念じるのに使われています。

数珠の歴史

数珠はインドが発祥だといわれています。

ブッダが悟りを開いて仏教の教えと説くずっと前。インドに古くから伝わるバラモン教に起源があります。

バラモン教では「マントラ(真言)」を唱えます。マントラを唱えるときに、数を数えるために珠が輪っか状に連なったものを使用していました。

これを「ジャパ・マーラー」といい、「念誦の輪」という意味があります。マントラを心に念じる輪という意味です。

ブッダはを仏教に取り入れました。

仏教では「布薩(ふさつ)」といって、戒律をきちんと守っているか確認する日があります。この布薩の日は毎月十五日と三十五日と決まっていますが、弟子の中で日にちを忘れて布薩に参加しない人が現れました。

そこでブッダは「布薩の日を忘れないように、これを使いなさい」と渡しました。これが、仏教における数珠のはじまりです。

当時の数珠には、白と黒がそれぞれ15個ずつ、合計30個の珠が連なっていたといわれています。

仏教がインドから中国、そして日本へと伝わり、時代とともに数珠を持つ意味や形が変わってきました。

数珠は煩悩を打ち消すもの

数珠には、煩悩を打ち消す力があるとされています。

昔から人間には煩悩が108あるとされています。これは、実際に煩悩が108あるというわけではなく、インドにおいて古来より「108」という数字が最上の数だとされるところにあります。

つまり、人間にはとにかくもっともっとたくさんの煩悩がありますが、それをあえて「108」という数字で表しているだけに過ぎないのです。

数珠を繰りながら念仏をすることによって、この煩悩を打ち消すことができるとされているのです。

木槵子経(もくげんじきょう)というお経があり、そこにはこういうことが書かれています。

木槵子(ムクロジュ)を108つないでいつでも身に付けて、三宝を称讃するたびに1つ繰りなさい。そうすれば迷い苦しみはなくなります。

「三宝を称賛する」とは、簡単に言い換えてしまうと「念仏をする」ということです。数珠を繰りながら念仏をすることによって、煩悩が打ち消され、結果として迷いや苦しみはなくなっていくことは、仏教のお経としてもきちんと示されているのです。

数珠の持ち方

数珠は写真のように左手で持ちます。(総持寺HPより

数珠は、基本的に左手で扱います。

左手の親指と人差し指の間にかけるようにして持ち、合掌するときはそのまま右手と合わせます。

数珠の輪っかの中に、右手と左手の両方を入れることはしません。

古来よりインドでは、左は不浄であるとされてきました。つまり左手は、「不浄な手」となるわけです。

その「不浄な手」を、数珠によって清めるという意味があります。

だから数珠は左手で持でもつのです。

数珠の買い方・コツ

いざ数珠を買おうとしても、本当にピンからキリまであって何を買えばいいのかわからないと思います。

そこで、数珠を買うときのコツを紹介します。

数珠は次のような流れで選ぶといいでしょう。

  1. 宗派の確認
  2. 予算
  3. 大きさ
  4. 材質
  5. 手に取ってみる

1,宗派の確認

まずは宗派を確認しましょう。

各宗派によって正式な数珠があります。それぞれ形が違うので、まずは自分の宗派にあった数珠を確認しましょう。

もし宗派がわからなかったり、どこの宗派にも属していないのであれば、八宗兼用や略式の数珠というのもありますので、それを購入するといいでしょう。

八宗とは、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗の8つの宗派を指します。

八宗兼用の数珠は、どの宗派でも使用することができます。

よく使われるのが「略式」の数珠です。

八宗兼用といわれるものは、数珠の珠が108個連なっています。しかし略式は、携帯しやすいように珠が半分の54個や、4分の1の27個になっていて、多くの人が略式の数珠を使っているように思います。

数珠を買うときは、まずはどのタイプの数珠を自分が持つべきなのかを確認するようにしましょう。

2,予算

数珠の値段にも大きく幅があります。

安いのでは100円からあり、高いものは数万円、数十万円、数百万円と、上には上限がありません。

そこで、先に予算を決めてしまいましょう。

正直なところ、予算は5,000円から10,000円くらいあれば十分でしょう。

もちろん、色や形、材質など、こだわりがあるなら、オーダーメイドで作ってもらうとなると、もっと予算は必要になります。

しかし、あまりこだわらないのであるならば、あらかじめ予算を決めてから数珠を選ぶ方が、スムーズに進むでしょう。

3,大きさ

数珠には大きく分けて、「男性用」「女性用」があります。

これは、珠の大きさを「男性用」「女性用」という言葉によって区別しているものです。

男性は必ず「男性用」でなければいけないことはなく、女性は必ず「女性用」でなければいけないことはありません。

男性が「女性用」を使っても問題はありませんし、女性が「男性用」を使っても問題ありません。

実際、私の知人のお坊さんは男性ですが、「女性用」といわれる珠の小さな数珠を愛用して使っています。

「男性用」「女性用」は、あくまで珠の大きさを区別するために使っているだけです。自分の手にあったものをお使いください。

4,色

色も様々あります。黒や茶色といった暗い色から、ピンクや赤など華やかな色までたくさんあります。

また、例えば同じ黒色でも、材質によってツヤの有る無しがあるなど、よく見れば違いがあります。

また材質が石になれば、虎目石のように模様があるものもあります。

仏事に参列する際、数珠の色に決まりはありません。

気に入った物を選べばいいでしょう。

5,材質

材質は大きく分けて「石」と「木」にわかれます。

「石」は水晶や虎目、石榴石、瑪瑙など。

「木」は白檀や黒檀、菩提樹、欅など。

種類もたくさんありますが、「石」の数珠か「木」の数珠かを考えて選ぶようにしましょう。

実は、石でできた数珠は木のものと比べると重たいです。場合によっては腕が疲れてくることもあります。

しかし、色鮮やかな数珠はだいたい材質が石のものがおおいです。見た目が中心でおしゃれな物がよければ、石の数珠の方がいいかもしれません。

反対に、木が材質の数珠はどちらかというと地味なものが多いです。ほぼ黒色か茶色かの二択でしょう。もちろん、黒にもいろいろありますが。

しかし、使っていると手の脂をすって味わいのある色に変わっていくのが特徴です。また、石の数珠より軽いので、腕が楽なのもいいところでしょう。

6,手に取ってみる

できれば実際に手に取って確かめてみましょう。

今の時代、インターネットで簡単に数珠が買えますが、写真で見るのと実際に直接見るのとでは色合いが違うことがあります。

また、持ったときの感触、暖かさ、重さなど、持ってみて確認してみましょう。もしかしたら、重かったり使いづらかったりするかもしれません。

仏具仏壇店や念珠店、あるいはお寺にも数珠が販売されています。

おそらくは永く使い続けていくものになると思います。一つ一つ丁寧に確かめて見てみるようにする方がいいでしょう。

数珠についての疑問

頻繁に使うことのないものだからこそ、あれこれと気になることがあるのではないでしょうか。

数珠についての疑問にお答えします。

数珠の貸し借りはしていいの?

お参りに参列したとき、数珠を持っていなかったり、忘れたりすることがあるでしょう。そんなとき、お焼香を済ませた人の数珠を借りてお焼香に向かうという「数珠の貸し借り」をよく見かけます。

数珠は貸し借りしていいのでしょうか?

お坊さんが言います。数珠は貸し借りしてもいいです。問題ありません。

さらにいえば、仏事に参列するときやお焼香の時に数珠を持っていなくても問題ありません。

どこのだれが決めたかわからない一般マナーとして、数珠の貸し借りはしてはいけない僧ですが、そこには厳密な理由が見当たりません。また、参列の時やお焼香に向かうときに数珠を持っていなければいけないという理由も厳密にはありません。

大切なのはお参りするときの気持ちです。

貸し借りをしてバタバタとあわてたりするくらいなら、何も持たずに心静かに手を合わせましょう。

数珠は自分で買ってはだめなの?

「数珠は自分で買ってはいけない」と言われたことがある人もいるのではないでしょうか。

その理由として、「誰かの葬儀を待つことになるから」「数珠は引き継いでいくものだから」といったことがあげられるようです。

しかし、「数珠は自分で買ってはいけない」は迷信です。

どうやら、「数珠はお葬式で使うものだから縁起が悪い」というイメージがあるようで、縁起が悪い物を自分で用意することは、死を招いたり周りを不幸にすると考えられていたようです。

しかし、そんなことはありません。むしろ自分で納得いく物を買って用意しておいた方が、いざとなったときに心安らかに参列して使用できるというものです。

数珠はいくつも持っていいのか?

数珠はいくつ持っていてもいいです。

二つでも三つでも、好きなだけ持っていても何も問題ありません。

お坊さんはいくつも持っている人がほとんどです。お葬式や法事、その他儀式などによってそれぞれ使い分けることもあれば、その日の気分で違う数珠を使うこともあります。

数珠を持つことは縁起が悪いことはありません。気に入った物があれば迷わず購入していいでしょう。

ただし、たくさん持っているからといって乱雑に扱ってはいけません。一つ一つ大切にしましょう。

腕輪念珠、ブレスレットは使っていいの?

腕輪念珠というものがあります。

これは手首につけるブレスレットのようなものですが、これは飾りです。

お葬式や法事などに参列するときはきちんと用意するようにしましょう。

パワーストーンでもいいのか?

パワーストーンと呼ばれる石を使った数珠を使用しても問題ありません。

例えば「タイガーアイ」は「虎目石」、「ガーネット」は「柘榴石」と、呼び方が違うだけで昔から使っている石もたくさんあります。

「パワーストーンはふさわしくない」という人もいますが、本人がそれを数珠として認識しているなら、それはれっきとした数珠です。

心配せずに自分の気に入った数珠を購入しましょう。

数珠は大切に扱いましょう

数珠はお葬式や法事など、仏事のときには必要な大切なものです。

故人を供養するときに手を合わせるために使うものであると同時に、自分の煩悩を消し去る力を持っています。

つまり、自分の心を整えるための大切な道具なのです。

意味を正しく理解し、数珠は大切に扱うようにしましょう。

 
 
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