「終活(しゅうかつ)」って、大人やお年寄りのものだと思っていませんか?
でも今、20代の若者や、なかには10代の人たちの間でも、自分の「もしも」に備える動き「終活(デス活)」が少しずつ広がっています。
SNSでは「遺影を撮ってきた」「エンディングノート書いたよ」といった投稿が増え、「なんで若いうちからそんなことするの?」という声と同時に、「前向きでいいね」という反応もあります。
この記事では、「若い人が終活を始める理由」や「実際にどんなことをしているのか」について、わかりやすく紹介します。
いま話題の終活「デス活」とは?

いま話題の「デス活」とは、終活のことです。若者向けにイメージを変えていくために、言葉がかわっていったのでしょう。
終活とは、人生の終わりに向けて、自分自身や家族のために「準備」を進める活動のことと思われています。
しかし本当の意味は、「死」を意識することで、生きている今を生き甲斐をもって過ごしていくための活動です。
「死の準備」だけではなく、「これからをどう生きるか」を見つめ直す機会です。
自分らしく、安心して自分の人生を生きていくための、前向きな行動といえるでしょう。
その活動として、財産や持ち物の整理だけでなく、医療や介護についての希望、葬儀やお墓のこと、エンディングノートの作成など、幅広い内容が含まれます。
また、自分が亡くなった後に家族が困らないように、パスワードや契約情報などのデジタル資産の整理も大切です。
家族との対話や、気持ちの整理にもつながるので、「やってよかった」と感じる人も多いです。
始めるタイミングは人それぞれですが、早すぎることはありません。
思い立ったときに少しずつ始めてみるようにしましょう。
なぜ若者の間で終活「デス活」が広がっているのか?

コロナや災害で「もしも」を考えるようになった
新型コロナウイルスの流行、そして地震や大雨などの自然災害。ここ数年、私たちはいろんな予想できない出来事「もしも」の出来事に直面してきました。
「明日があたりまえに来るとは限らない」と感じた人も多いはずではないでしょうか。
その中で、「自分に何かあったとき、家族や友達が困らないようにしておきたい」と考える若い人が増えています。
SNSやYouTubeで“前向きな終活”が広まっている
「終活」って聞くと、ちょっと暗いイメージがあるかもしれません。
少し前までは高齢の人がする、いわゆる「死ぬ準備」という意味で終活がとらえられていました。
でも、最近はちがいます。
TikTokやYouTubeでは、「遺影を撮りに行ってきた」「エンディングノート作ってみた」などの動画がたくさん投稿され、いいねやコメントが集まっています。
写真もカラフルで明るく、「終活っておしゃれでポジティブなんだ」と思えるような、前向きな終活として、その内容がどんどんかわってきているのです。
「将来への不安」と「自分らしい最期」
不安定な仕事やお金のこと、人間関係の悩み。
暗いニュースが多く流れている現代、将来に対する不安をかかえている若者が、昔よりも増えてきているのではないでしょうか。
そんな現代だからこそ、「最後くらいは自分で決めたい」と考える人も多くなってきているというのも事実。
これは悲しい気持ちからではなく、「自分らしい最期」を迎えたいと、自分の生き方そのものを大切にしたいという前向きな考えの一つでもあるのです。
20代が実際にやっている終活「デス活」の内容とは?

20代がやっている終活「デス活」で、実際にどのようなことをやっているのでしょうか。
① 遺影の撮影をしておく
「遺影(いえい)」とは、お葬式のときの写真のことです。
これまでは、お葬式の準備がはじまってから、残された人が故人の移っている写真を探し、選んで遺影にしていました。
しかし、故人の写真が少なかった場合、何年も前の写真を遺影にしなければならなかったり、写りの悪いものを使用せざるをえなかったりします。
故人の納得の写真にならないどころか、遺族が写真を探し出す手間にもなってしまっています。
そのため、前もって自分の納得のいく写真を残しておき、いざというときには使ってもらうよう頼んでおくことで、スムーズに納得のいく遺影の準備をすることができます。
プロに写真をとってもらうことで、「自分らしい一枚」を残すことができるということです。
最近では、お気に入りの服、好きなメイクで、笑顔の写真を残す人も。
「一番自分らしい自分を残したい」――そんな思いから始まっています。
プロなら、きれいに、また自信がない写真でも上手に補正をしてくれます。
せっかくなら笑顔に加工して、自分らしい一枚を残しませんか?
② エンディングノートを使って自分の思いを残す
エンディングノートは、自分の大切な情報や思いをまとめておくノートです。
たとえばこんなことを書きます:
- どんな音楽が好きか
- 誰に何を伝えたいか
- 貯金や持ち物について
- SNSアカウントの情報 など
最近はアプリやWEBサービスでも書けるようになっていて、スマホ1つで気軽に始められます。
エンディングノートの書き方については、コチラに詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
③ 死後に届く手紙で想いを伝える
「もしものとき、大切な人に手紙を届けたい」
そんな気持ちをかなえてくれるサービスも登場しています。
生きているうちに書いた手紙を、亡くなったあとに家族や友人に届けてもらえる仕組みです。
ちょっと感動的で、でも温かい、そんな新しい終活の形です。
④ SNS・スマホのパスワードやアカウント整理
スマホの中には、たくさんの大事な情報がありますよね。
LINE、Instagram、YouTube、銀行のアプリ、サブスクの契約など。
これらを整理せずにそのままにしておくと、もしものときに家族が困ることも。
このようなデジタルの部分に関して、まえもって準備をしておくことを「デジタル終活」といいます。
生活の多くでデジタルを活用している私たちにとって、これを準備しておかなければ大変なことになります。
実際、私の知人は30代でなくなりましたが、スマホやパソコンのパスワードが分からず、専門の業者に解除を依頼しました。結果として数十万の費用がかかったと聞いています。
今は「デジタル終活」として、パスワードをまとめて管理できるアプリなどもあります。
また、エンディングノートに書いておくなどして、今のうちに対策をしておきましょう。
デジタル終活についてはコチラもご覧ください。
⑤ 葬儀の希望を自分で考える
お葬式についての考え方も変わってきています。
これまでのような、暗く、しずかに、厳かに、というお葬式にとらわれる必要はありません。
「明るい音楽で送り出してほしい」「家族だけで、静かに見送ってほしい」など、自分のお葬式について考える人も、現在ではとても多くなってきています。
最近は“自分らしいお葬式”ができるサービスも増えていて、形式にとらわれず自由にプランを考えることもできます。
どんな風に送ってもらいたいか、考えてみるのもおもしろいかもしれません。
若いうちから終活「デス活」を始めるメリットと注意点

若いうちから、終活「デス活」をはじめることは大切なことです。しかし反対に、注意点もあります。
どういう所に気をつけなければいけないのでしょうか。
人生を見直すきっかけになる
終活「デス活」をすると、「自分はなにを大切にしているのか」「誰に何を伝えたいか」などが見えてきます。
それは、今の生き方を見つめ直すヒントにもなります。
そもそも、終活とは「死」を意識することで、生きている今を見つめ直す活動です。
いつおとずれるかわからない「もしも」を考える事は、どうじに今の人生を見直すことでもあるのです。
「終活をしたことで、家族とたくさん話すようになった」「将来の目標が見えてきた」という話もよく聞きます。
終活「デス活」は暗いことじゃないし、不謹慎なことではありません。
今を生きていくための、大切な活動なのです。
誤解されないように伝え方には注意
気をつけなければいけないのは、「えっ、死にたいの?」とまちがったふうに受け取られてしまうことがあるということです。
そんなときは、「これは前向きな終活なんだよ」「自分の人生を見つめるためにやってるんだ」と、ちゃんと伝えることが大事です。
終活「デス活」の本来の意味をしっかりと理解して、行動するようにしましょう。
まとめ|終活は、これからの生き方を考えるきっかけ
終活は、ただ「死の準備」をすることではありません。
むしろ、「これからどう生きたいか」を考える、前向きな時間です。
まだ若いからこそ、「自分の生き方」や「人とのつながり」について考えることはとても大切。
終活は決してお年寄りだけのものではなく、自分を大事にしたいすべての人のための時間なのです。
いまのうちから、若いうちから、自分の終活「デス活」について考えてみませんか?