「終活」という言葉を聞くと、「まだ早い」とか「縁起が悪い」など、ネガティブなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
しかし、もしものことがあってから準備していては間に合いません。健康なうちに、今から終活を始めておくことが大切にです。
ここでは、そもそもなぜ終活が必要なのか、将来に向けてどんな準備が必要なのかについて紹介します。
また、終活の「やることリスト」準備しておくべきこと、必要なことを紹介しています。こちらも参考にしていただき、どのような準備をしていかなければいけないか確認しておきましょう。
終活はなぜ必要か?
終活とは、人生最期のときを意識しながら、「もしも」のときにそなえることで、残りの人生を前向きに生きていくための活動です。
つまり、大きく分けると終活が必要な理由はふたつです。
- 家族や親戚など、周りに迷惑をかけないため
- 自分自身を振り返り、残りの人生を充実させるため
人はいつか死んでいかなければいけません。そのときは突然やってきます。
突然やってきた「もしも」のときに、自分が慌てないように、周りの人が慌てないように、そして迷惑をかけないように、今から準備しておくことが大切です。
終活は周りの人に迷惑をかけないためにする
終活をしなかった場合、一番困るのは残された遺族です。
周りの人たちに迷惑をかけないように、早いうちから終活を始めるようにしましょう。
そもそも、終活が話題に取り上げられ、ある種のブーム化した背景には、一人暮らしの増加があります。
時代の流れにより、子どもと同居して暮らす人が少なくなってきました。また、結婚しない人も多くなり、結果として高齢者がひとりで暮らすというケースが増えたと考えられています。
日常的に他人と接する機会が減ってくると、自然と「周りに迷惑をかけないようにしたい」という思いもわいてきます。
もし、一人で暮らしている人が、何の準備もなしに病気などで突然倒れてしまったらその後はどうなるでしょうか?
自分の治療費、入院費、介護費はどこから出されるのでしょうか。延命治療はしてもいいのでしょうか。自分の財産はどうなるのでしょうか。通帳などの名義は誰が変えるのでしょうか。お葬式やお骨などのその後はどうすればいいのでしょうか。
何も用意をしていなければ、突然のことに、子どもや家族は、きっと戸惑うことになるでしょう。
これは私の経験談ですが、私の叔父は、周りの人に何も伝えることなく、60歳半ばで亡くなりました。周りに心配をかけまいと、自分がどんな病気かも家族に言うことなく、「大丈夫、大丈夫」と日常生活を送っていました。ところが、ある時を境に、みるみる間に病気が悪化し、そのまま亡くなってしまいました。
困ったのはあとに残された家族です。本人は心配かけまいと、自分のことをあまり周りに話をしませんでした。しかしそれが逆に、その後の負担となってしまったのです。
まずはどこに何があるのかを探し出すところから始めなければいけません。お金や通帳はどこにあるのか、保険はどうなっているのか、年金は、財産は・・・
さらに、離婚し、子どもは結婚をして家を出ていたので、一人暮らしをしていました。残った家はどうするのか、土地はどうするのか、家の中のモノはどうするのか・・・
また、役所への届け出は誰がするのか、お葬式や今後の法事などの仏事は誰が施主になって行うのか・・・
家族が亡くなっても、悲しみに浸る余裕もなく、いつまでもバタバタと忙しかったことを覚えています。
このように、「死」はいつ来るかわかりません。もしものときは突然やってきます。そのときに、何の準備もしていなければ、苦労をするのは残された家族です。
家族に迷惑をかける心配がないように、あらかじめ準備しておくようにしましょう。
終活は残りの人生を充実させる
終活は「死」を意識することで、自分の生き方を見つめ直し、残りの人生を充実させていくためにするものです。
病気になったらどうしたいか、老後はどうしたいか、死後はどうしてほしいか・・・
どうしてもネガティブなイメージがついてしまいますが、こういうことを考えることはとても大切な事です。
先のことを考え、「もうあと○年くらいしかない」「あとわずか」ということを考えると、「残りの人生、もっと有意義に過ごしたい」と思うのではないでしょうか。
80代女性の体験談
ある80代女性の方のお話です。数年前に夫に先立たれ、一人で暮らしていました。子どもや孫は遠く離れて暮らしています。ご近所付き合いもほとんどなく、昼間の多くは家の中でテレビを見て過ごしていました。誰とも話をしないという日もよくあるそうです。
ある日、その女性と話をしていると、「趣味も楽しみも何もない、あとは死ぬのを待つだけ」と言うので、終活をすることを勧めました。とりあえずエンディングノートを渡し、できるところから書き始めるようにと説明し、できることから取り組んでもらいました。
すると、数日後、なんと驚いたことがあったのです。「実はやってみたかったことがあったんだ」と言って、社交ダンスを始められたのです。長年連れ添った夫が死んで、生きる気力もなかったような人が、終活を初めたことで、新たな一歩を踏み出したのです。
このように、自分の人生をふりかえることで、自分のしたいことやこれからどのように生きていきたいかということが明確にわかってくるのです。
終活は、今までの自分の人生を振り返り、「死」を意識してそのときの準備をすると同時に、残りの人生を生きがいのあるものに変えていきます。
「まだ早い」「関係ない」と思わず、小さなことからでもいいので取り組んでいきましょう。
最後に
終活が必要な理由は大きく分けてふたつです。
核家族化が進み、子どもや孫たちと離れて暮らす一人世帯が増えていることで、今後の事について前もって具体的な話をする事がなかなかできません。
それをそのまま放っておくと、突然のことで周りに迷惑をかけてしまうことになりかねません。
終活は、いつ初めても早すぎることはありません。できるうちに、準備を始めておきましょう。