忙しい毎日の生活の中で、しっかりと食事をすることができていますか?
また、ダイエットや食事制限をしているなかで、バランスを考えた食事をとることができているでしょうか?
しっかり、ゆっくりと時間をかけて食事をとることができない人にとって、最近よく話題となっているのが「完全栄養食」です。
完全栄養食とは、健康に生きていく上で必要な栄養がすべて含まれているとされる食品のことです。
忙しい人やダイエットをしている人を中心に人気が高まっています。
ここでは、完全栄養食について、その特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
完全栄養食(完全食)とは?
「完全栄養食」とは、健康を維持していくために必要な栄養素がすべて含まれている食品のことで、「完全食」や「完全栄養食品」ともいわれています。
完全栄養食は、厚生労働省が年齢や性別ごとに定めている「日本人の食事摂取基準」に示された必須栄養素を満たしているものが該当します。
完全栄養食の特徴
完全栄養食は、それひとつで健康を維持するために必要な栄養を摂取することができます。
たとえば、卵や母乳がそれに該当します。
卵には、炭水化物、たんぱく質をはじめ、葉酸、鉄、脂質、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンE、リン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などなど、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素は全て含まれています。
その栄養価の高さから、完全栄養食といわれているのです。
また同じように、母乳にも多くの栄養が含まれており、赤ちゃんが育つのに必要な栄養のほとんどが母乳から摂取することができるのです。
さらに、市販されている完全食の多くは、一日に必要な栄養の3分の1をとることができます。
一食分で摂取したカロリーを簡単に計算することができるので、ダイエット中や食事制限のある人にも、利用しやすい食品なのです。
完全栄養食とサプリメントの違い
普段摂取できない栄養を、サプリメントで補っている人もいるのではないでしょうか。
完全栄養食とサプリメントの違いは、主食となるか、そうでないかというところにあります。
サプリメントは、あくまで栄養補給の補助として使用される食品です。
そのため、基本的には自分で栄養をバランスを考えて食事をしていく必要があるのです。
対して完全栄養食は、それ自体が主食として食べられているものです。
例えば、主食として食べられるパンやパスタそのものに、必要な栄養素がすべて含まれているのです。
完全栄養食に含まれている栄養素
完全栄養食には、パンやパスタ、カレー、ドリンクなど、さまざまなタイプがあります。
普段の食事を当たり前にとりながら、必要な栄養を全て摂取することができるのです。
おもに、次のような栄養が含まれています。
- たんぱく質
- 炭水化物
- 必須脂肪酸
- 食物繊維
- 必須アミノ酸
- 葉酸
- 鉄
- ミネラル
- ビタミンA
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ビタミンC
- ビタミンD
- ビタミンE
食品によって異なりますが、上記以外にも多くの栄養が含まれている場合が多いです。
なぜ完全栄養食が注目されているのか
完全栄養食は、
- 必要な栄養をバランスよく摂取できる
- 調理の手間がかからない
- 災害時の非常食になる
などの理由から、最近特に注目されるようになりました。
現代の人は仕事で忙しく、ゆっくり時間をかけて食事をすることが無くなってきました。
また、ダイエットをしていたり、健康に気をつけていたり、医者から言われたりして食事制限をしている人も少なくありません。
ひとり暮らしの人や独身の人も増えたことにより、自分で自分の食事を用意しなければいけません。
そんな中にあって、バランスのよい食事を満足にとることが難しくなってきた人にとって、手軽に利用できるのが、完全栄養食なのです。
また、防災に対する意識も高まり、非常食として用意する人も増えてきました。
もし災害になった場合でも、手軽に必要な栄養を摂取できるとして注目されているのです。
完全栄養食の種類
完全栄養食には、大きく分けて次のような種類があります。
- 「食事タイプ」おもに食事として食べるもの。パンやパスタ、カレーなど。
- 「固形タイプ」いつでも手軽に食べることができるもので、グミやクッキー、チョコなど。
- 「ドリンクタイプ」飲むタイプの完全栄養食
食事の代わりに完全栄養食をとるなら、食事タイプを、おやつや小腹が空いたときなどに食べるなら固形タイプやドリンクタイプなど、用途に合わせて選ぶのがいいでしょう。
完全栄養食のメリット・デメリット
完全栄養食を、おもに食生活の中心としていきたいという人もいると思います。
手軽に栄養をとることができる反面、気を付けなければいけないことがあることも知っておきましょう。
完全栄養食のメリット
まずは完全栄養食のメリットを紹介します。
簡単に栄養をとることができる
完全栄養食の一番のメリットともいえるのが、簡単に栄養をとることができることではないでしょうか。
忙しい毎日の中で、栄養バランスのよい食事をとることは難しいことです。
また、補助的になるだけでなく、パンやパスタなど、おもに主食として食べることができる食品があるというのもうれしい部分です。
一日三食の食事を完全栄養食に代えるだけで、一日に必要な栄養を摂取できるのです。
栄養の管理が簡単にできる
自分で料理をしていると、どの食材にどれだけの栄養が入っていて、今自分に何が足らないのか、というようなことがほとんどわかりません。
完全栄養食品には、すでに含まれている栄養が明記されています。
これでどれほどの栄養を摂取したかということが、一目瞭然で分かるのです。
ダイエットをしていたり、医者から食事制限をされていたり、あるいはスポーツをしていて食生活には特に気をつけている人などにとって、栄養の管理はとても大切です。
これをとりいれることで、バランスのよい食生活の栄養管理が簡単になるのです。
調理の手間がかからない
バランスのよい食事をとろうと思うと、どうしてもあれこれと食材を用意して準備し、自分で調理しなければいけませんでした。
忙しくてなかなか料理をする時間のない人にとって、手軽に食べることができる食事から、バランスよく栄養をとることはとても難しいことです。
しかし、完全栄養食はそれ自体が主食にもなるものが多く販売されています。
これによって、調理することなく食事ができるので、忙しい人でも利用しやすくなります。
食事の時間が短縮できる
調理する手間がかからないと同時に、食事にかける時間も短縮されます。
忙しくて食事をする時間がない人でも、手軽に利用することができるのです。
完全栄養食には、クッキーやグミなどのおやつになるタイプや、ドリンクタイプのものもあります。
短い時間の中でも、しっかりと栄養をとることができるのはうれしいメリットでしょう。
緊急時の非常食になる
災害時の非常食として、完全栄養食を常備する人も増えてきました。
もし万が一災害になってしまうと、しばらくの間まともに食事をとることができません。
食品の配布や炊き出しだけでは、必要な栄養を補うことができません。
特に非常時では、精神面でも苦しい生活が続きます。
そんな状況の中で栄養不足になると、正常な判断ができなくなったり、あるいは体調不良になってしまうこともあるでしょう。
非常時だからこそ、体調管理はとても大切です。
市販の完全栄養食品の中には、数年間保存ができるものもあります。
いつ何がおこるかわからない現代で、備えておくにはとてもいいものでしょう。
完全栄養食のデメリット
完全栄養食にも、いいことばかりではありません。
次にデメリットを紹介します。
カロリー不足が心配
完全栄養食を利用することによって、多くの栄養を補うことができます。
しかし、カロリーが不足していて、カロリー不足が心配になります。
カロリーは、人間が活動していく上で必要なエネルギーのことです。
ダイエットをする時は、このカロリーを気にして低カロリーやカロリーゼロの食事を心がける人も多いことと思います。
体重が減ることをいいことだと考える人もいるでしょうが、必要以上の体重の減少は体に悪影響を及ぼし、たとえば骨粗鬆症や生活習慣病などの健康被害につながります。
また、集中力の低下なども引き起こされ、長時間集中して仕事や勉強ができないということにもつながります。
早食いになってしまう
簡単に食べられるものばかり食べてしまうと、早食いになってしまいます。
早食いをすることは、胃に負担をかけたり、満腹感を得られにくかったりします。
満腹感を得られなかったら、まだまだ食べたいという欲求が生まれ、そのぶん量をたくさん食べてしまって、かえって太る原因にもなります。
また、虫歯になりやすいともいわれており、そこから健康被害を及ぼす危険があります。
早食いは噛む回数そのものも少ないので、これによって脳が活性化されにくくなることも早食いのデメリットです。
コミュニケーションがなくなる
かつては「飲みニケーション」という言葉があったように、食事はコミュニケーションをとるための大切な場でもあります。
手軽に食べることができる完全栄養食ばかり食べることで、他者とのコミュニケーションがなくなってしまう恐れがあります。
食事を通したコミュニケーションによって、他者との円滑な関係を結んだり、自らの学びにつながったりしていることは紛れもない事実です。
また、コミュニケーションは脳を活性化させるので、健康な生活をしていくためにも大切なことなのです。
完全栄養食だけで生活すること
完全栄養食だけで生活をすることは、おすすめできません。
もちろん、一日に必要な栄養を確実にとることができるなら、これほどいいものはありません。
しかし、一日三食をこれで過ごすことは、早食いになったり噛む回数が少なくなったりすることで健康被害を及ぼす危険があります。
また、コミュニケーションがなくなるので、他者との円滑な人間関係を結べなくなる恐れがあります。
カロリー不足も心配で、完全栄養食だけで生活をしていると元気に活動していくためのエネルギーがとれません。
基本的にはバランスのよい食事をしっかりととることを考えましょう。
その上で、どうしてもできないときには完全食に置き換えるなどして、上手に活用していくようにしましょう。
さいごに
完全栄養食について、その特徴とメリット・デメリットを紹介しました。
これまでは、栄養食というとあまりおいしくなくて、我慢して食べるものという印象が強かったのですが、今では主食ともなるようなおいしいものが多く販売されています。
これによって手軽にいつでも一日に必要な栄養を摂取することができるようになりました。
しかし、完全栄養食だけで生活をすることは、カロリー不足や早食いなどによって健康被害を及ぼす恐れもあります。
上手に活用して、健康な生活を心がけましょう。