遺族としてお葬式に関わるときには、葬儀社とのトラブルにならないように気をつけなければいけません。
遺族には、経験や知識がなく、時間的や心に余裕がないことから、悪質な葬儀社に依頼してしまうと言いなりになってしまい、あとから葬儀社とトラブルになったというケースが少なくありません。
そしてトラブルの原因のほとんどが、「お葬式の費用」に関することです。
なぜお葬式の費用でトラブルが起こるのでしょうか?
経験者アンケートでわかった家族葬の費用の実態も紹介しているので、あわせてこちらもご覧ください。
お葬式の費用でトラブルが起こる原因
お葬式のトラブルとして、毎年たくさんの相談が消費者センターに寄せられています。
そのうち、不透明なお葬式の費用に関する問い合わせが、年間で700件以上も寄せられているのです。
お葬式に遺族として関わるとき、そのときになってみて初めて気がつくことがあります。それは、経験がなかったり、知識がなかったり、あるいは時間的、精神的に余裕がなかったりするところにあります。
お葬式の準備は、家族が亡くなった瞬間から始まります。遺族は、今まさに大切な家族が亡くなって悲しみに暮れているという状況にもかかわらず、お葬式の準備を進めていかなければいけません。深い悲しみの中、自分の心の整理もつかない状況で、冷静にお葬式の準備を進めていくことはとても大変なことです。
このような状況から、遺族が葬儀社に勧められるままに葬儀プランの内容と費用をみて依頼することが多く、途中で発生するオプションや追加費用を知らないままお葬式が行われることがあります。
これがのちに葬儀社と遺族との間でトラブルとなるのです。
「葬儀費用」に対する考え方
トラブルの最大の原因は、葬儀社が考える「葬儀費用」と遺族が考える「葬儀費用」との間に食い違いがあるところにあります。
そもそも前提が違うことによって食い違いが起こり、トラブルになりやすいのです。
葬儀社の考える「葬儀費用」
葬儀社の考える葬儀費用は、広告に掲載している料金のことです。
最近ではパック料金やプランで表示されていることが多く、オプションなどで追加でかかる費用についてはわかりにくい場合が多いです。
ある葬儀社のホームページから例をあげてみます。
この葬儀社のあるプランでは、セット価格150,000プラス消費税で165,000円となっています。遺族が見るのはこの部分がほとんどで、はじめのセット価格を見てプランを決めることがほとんどです。
しかしよく見るとこの料金の中には、例えば寝台車(遺体を病院から自宅や葬儀会館まで運ぶ車)や霊柩車(葬儀後に火葬場まで遺体を運ぶ車)の利用料や、ホール使用料、親族の控え室の使用料などは含まれていません。
粗供養や参詣者に対するおもてなしの費用が別料金なのは致し方ないと感じることはあっても、寝台車や霊柩車の用にどうしても必要だと考えてしまっているものさえ、オプションとして設定されているのです。
それらを含めると、最終的に50万円を超える金額にもなってきます。
およそ15万円でお葬式ができると思って葬儀社に頼んだのに、最終的には50万円という思いもよらない請求が来ることになると、遺族も大変困惑するでしょう。
「お葬式が安くできます」といって提示されている金額の多くは、基本のセット料金です。そこにはオプションなどで発生する追加料金が含まれていません。
またオプションの中にもどうしても必要なものが含まれているというカラクリが、葬儀社と遺族間のトラブルの原因になっているのです。
お坊さんへのお布施
お坊さんへ支払うお金のことを、お布施といいます。本来は決められた金額はなく、「お気持ちで」するのがお布施です。
お坊さんの方から見ても、金額が多かろうが少なかろうが、同じようにお葬式を勤めるのが当たり前です。お布施が多いからといって長くお勤めをするわけではないし、少ないからといっていいかげんにお葬式をすませることはありません。
しかし、時代の流れによって「お布施」が「○○料」にかわり、お坊さんの読経に対するお礼へと変わりました。「お気持ちで」ということがわかりにくくなり、お布施の明瞭化が一気に進んだのです。
「お葬式にかかる費用」というときに、お坊さんに対する「お布施」の金額が含まれないことがほとんどです。
先ほどの葬儀社の例を取ってみると、基本セット料金15万円あるいはそこにオプションをつけた総額50万円のなかに、お坊さんへのお布施は含まれていません。
お葬式のお布施が30万円だとしたら、葬儀プランの50万円に追加して30万円かかるということになります。
遺族の考える「葬儀費用」
遺族の考える「葬儀費用」は、それらもろもろを合計して、最終的に支払う費用の総額出あることがほとんどです。
つまり、
- 葬儀社いうの基本セット料金
- 祭壇の飾りやお供え物
- 会場使用料
- 寝台車や霊柩車の使用
- 粗供養
- おもてなし
- 会葬者への返礼品
- お坊さんのお布施
など、
これらすべてを含めて「葬儀費用」と考えています。
すると、これまで見てきたように、「葬儀社が考える葬儀費用」と「遺族が考える葬儀費用」とのあいだに、認識の違いがあることがわかります。
この認識の違いが、葬儀社と遺族の間にトラブルを生んでいるのです。
最後に
お葬式のトラブルとして、その多くは葬儀費用の不透明さにあります。
なぜこのようなことが起きるのか。
その理由は、葬儀社と遺族のあいだに「葬儀費用」に関する認識の違いがあることが原因です。
あとからトラブルにならないように、前もってしっかりと確認するようにしておきましょう。