仕事で大事な会議をする時は、大人数のほうがアイデアがたくさんでて効果的だと思っていませんか?
ここでは大人数で会議をする時の注意点、そして集団が大きくなるとどうなるか、について紹介します。
大人数で会議をする時の注意点
会議では大人数のほうがいろんな知恵を出し合い、ものごとがいい方向へ向かうように思いますが、必ずしもそうではないものです。
三人寄れば・・・
三人寄れば文殊の知恵ということわざがあるように、実際三人グループが最もたくさんの案をねん出できたという報告があるのです。
認知心理学者の清河幸子は「肩車モデル」というものを提唱しました。
これは、二人で々次元の議論を続けるよりも、そこにもう一人加わって上の次元から発言をするというものです。
例えば、話題がそれた時には「本題に戻りましょう」と話の道筋を戻したり、「ポイントはどこでしょうか」と多くの議論から焦点を絞ったり、さらには議論の内容を要約するなど、2人よりも高く座を構えてまとめ役のような立場として加わることで、議論がより深まっていくとされているのです。
これがもっと多い人数になった時にはどうなるでしょうか。
集団になると「手抜き」が起きる
実は集団になることは「手抜きが起きる元凶」だと考えられています。
アメリカの社会心理学者であるビブ・ラタネが行った「拍手実験」というものがあります。
これは被験者に対して「力いっぱい拍手をしてください」と呼びかけて、全力で拍手をしてもらうという実験です。この「力いっぱい拍手をしてください」という呼びかけに対して、1人の時と6人の集団になった時では力の出し具合が違ったのです。6人の集団に呼びかけた時、1人の時と比べて半分から3分の1しか力を出していないことが計測されています。ところが計測された数値に反して、本人はどちらも手を抜くことなく全力を出したというのです。
またドイツの社会心理学者リンゲルマンの実験でも、同じような結果が出ています。
リンゲルマンはこの実験を綱引きで行いました。「綱引き実験」と言われています。2人で綱を引く場合は、筋力の93%の力が出ているのですが、3人では85%、8人では49%と、力が抜かれていったのです。
つまり、人数が多くなるにつれて、集団が大きくなるにつれて、全力を出しているつもりになって実は出せていないという状況が起こるのです。
このように、人間は集団になることで「まあいか」と無意識のうちに力を抜く行動に出てしまいます。これを「社会的手抜き」などいいます。
社会的手抜きが起こらない方法
社会的手抜きが起こらないために「ターゲティング」という手法があります。
たとえば会議中に「皆さんどんどん発言して意見を言ってくださいね」といったところで、全員が思ったことを発現することはありません。これは社会的手抜きという心理が働いているから仕方のないことです。そこで、「この問題に関して女性の意見が聞きたいです」と対象を女性にしぼることで、女性は積極的に発言するようになります。
またこれは、商品の販売にも役立ちます。
「30歳からの婚活術」「大学生のうちから知っておくべきこと」「60歳からの保険」など、あえてターゲットを絞って見出しをつけることによって、そこに当てはまる人は自然と注目するようになるのです。
このように、ターゲットを限定して絞ることで注意をひきつけ、自分事のように考えさせるのがターゲティングです。
大人数の会議で意見が出ないときは、質問する相手を限定させるようにしましょう。
まとめ
大人数で会議をする時の注意点です。
人は集団が大きくなると、無意識のうちに手抜きをしてしまいます。つまり、発言が少なくなるということです。発言が少ないときは、質問の対象を限定することで、聞かれた側は発言しやすくなります。
また、人数を減らすということも有効でしょう。
ムダな会議は極力避けたいものです。効率の良い会議のためにも、その時の人数や会議の進め方には注意しましょう。