日常生活の中には「めんどくさい」と感じることが山のようにあふれています。
特に仕事のこととなると、やりたくなくて嫌なめんどくさいことばかりではないでしょうか。
しかし、めんどくさいをめんどくさいと感じているまま放っておくと、よけいにめんどくさいことが増えて、かえって時間も労力も何倍にもふくれあがってしまうものです。
ここでは、仕事に関する「めんどくさい」を解消するための14のコツを『「めんどくさい」が消える脳の使い方』をもとに紹介します。
また「めんどくさい」と感じる日常の行動を簡単に解消させる方法も紹介しているので、合わせてそちらもご覧ください。
仕事の「めんどくさい」を簡単に解消させる14のコツ
「10秒歩き」で集中力を鍛える
中断されて集中が途切れやすい人は、作業が乗ってきたところで自ら区切り、席を立って 10 秒歩いて席に戻ることで、集中力を鍛えることができます。
やっていることを忘れてしまうのでは、と思われるかもしれませんが、心配はいりません。
自ら作業を区切る場合は、一旦脳内に作業内容がストックされます。
席を立って歩くと、ストックされた情報と脳内にある情報が照合されるので、席に戻ったときには、すんなり続きの作業ができますし、違った角度からその作業を眺めてさらに質を高めることもできます。
シミュレーションゲームのつもりで入力する
経費精算や申請書類の記入など、単純な事務仕事はめんどくさい作業の代表です。
このようなときには、「この入力した情報を知っているのは自分だけ。会社の秘密を握っているスパイ気分」「将来自分で会社をつくるときの申請の練習」「この入力で社員を育てている」という感じで、その作業が何に結び付いているのかを設定してみましょう。
この設定は自由です。例えば、そんな目標がなくても「起業のための準備」と設定してOK。
大事なのは、「そういう設定にしておく」ということです。
姿勢を正して、お尻をぐっとしめて集中する
雑音の中でも集中して作業をしたいときには、脳の情報マスキング能力を高めましょう。
マスキング能力は、作業姿勢を整えると高まります。
パソコンやスマホを前にしたら、まずその姿勢からまっすぐ前を見ましょう。両耳を貫くように横軸があるつもりで、頭だけを少し下げて画面を見ます。
次に両足の裏を地面につけます。
そして、お尻をぐっとしめて骨盤を固定しましょう。
この姿勢で作業すると、話を聞き流せたり、無駄な仕事に注意が奪われるのを防げたりします。
その日の戦略を決めて重要な仕事を優先する
シングルタスクしかできない、なんて言っていられない状況もあります。
そんな状況に臨むときは、まず「重要なものから進めるか」「連絡をスピーディーに捌くか」その日の戦略を決めましょう。 メールの即レスのように、「緊急度は高いが重要度が低い仕事」は代謝率のアップダウンが激しいため消耗が大きく、その後の作業がめんどくさくなります。
「緊急度は低いが重要度が高い仕事」があるときには、そのための時間を優先的に確保しましょう。
朝イチにその仕事に手をつけてから、2番目にメールチェックをすれば、効率よく作業を進められます。
「注意の構え」を変更する
最新の資料で説明しなければいけない仕事のように、メールで送られた情報の確認が最重要であることもあります。
この場合は、「 マルチタスクに追われるときは その日の戦略を決めて重要な仕事を優先する」でお話しした「注意の構え」で重要なメールや確認箇所を特定して、そのメールや確認箇所にだけボトムアップ注意を起動させるようにセットしましょう。
ただ、注意の構えによって、先入観ができてしまい、重要なことを見落としてしまうこともあります。
不適切な先入観である構え効果を解除するには、トイレや洗顔、歯磨きなど、身体感覚が直接的に脳に届けられる単純な整容作業がおすすめです。
朝、頭を上げる時間をそろえる
リモートワークの日は、出社日と同じ時間に目を覚まして一旦座ってしまい、座ったまま二度寝をしてみましょう。
座って二度寝をしたほうが、その後、スムーズに行動できます。
起床を準備するホルモン・コルチゾールは、普段起床する3時間前から増え始めて、1時間前に急激に上昇します。これは、重力に対抗して頭を上げられるように血圧を高める作用があります。
つまり、同じ時間に頭を上げるようにしさえすれば、コルチゾールのリズムがずれることを防げます。
情報交換以外のメリットを得る
人に会うことには、情報交換以上の作用があり、自分の脳と体が望ましい状態になります。
オンラインよりも豊富な情報を記憶できたり、人と話すことでスッキリ感を得ることができたりします。
人に会う機会が増えすぎると負担がかかりますが、なさすぎても、最適な状態が保てないのが人間の仕組みです。
そこで、情報を得ること自体を目的にせず、たまに自分を最適な状態に戻す機会としてリアルに人に会うことを利用してみましょう。
予定の「終わり」に焦点を当てる
予定を急に変えられるのは、わずらわしいことです。
予定が変わりやすい環境にいる方は、「予定は変わる」ことを前提にしつつ、どう終えるかに注目してみましょう。
習慣のような予定通りの行動では大脳基底核が、突発的なことには小脳が対応しています。
大脳基底核によってつくられた習慣が乱されると小脳がその修正を行い、そのときにエネルギーが消費されますが、乱されることが前提になっていると、大脳基底核から小脳へのスイッチが速やかになり、エネルギーの消費を抑えることができます。
獲得した語彙をアウトプットする
業務上、セミナーに参加したり、専門書を読んだりする必要がある方もいるでしょう。
インプットがめんどうになってしまう原因は、その行為が身になっている実感を持てないからかもしれません。
このようなときには、ただ「勉強しなきゃ」と詰め込むのではなく、「新たな語彙を取得して使用する」という目的を追加してみましょう。
脳内の記憶を再生するには、その記憶に該当する言語が必要です。語彙が増えれば、再生できる記憶を増やすことができます。
ビジネス会話のチャンクをつくっておく
チャンクとは塊のことです。
脳には、一度に覚えられることが4つという容量の限界がありますが、複数の情報をチャンクとしてまとめてしまうことで、限られた容量の中でもたくさんの情報を覚えることができます。
これは、会話のような複雑な対応が迫られる場面での省エネ戦略に使えます。
チャンキングは、無意識のうちに行われる脳の活動ですが、これを意識的につくることで、「わからない」状況を減らすと、初対面の人との会話もめんどくさくなくなります。
相手の話にチャンクを見つける
自分が用意したチャンクに相手の話が当てはまらないときには、脳内がエラー信号のたらいまわし状態になり、無駄にエネルギーを消費します。
そこで、相手の話を章立てするようにチャンキングして、使う容量をセーブしましょう。
自分のチャンクに無理に当てはめようとして相手の話を先読みしたり、話を遮ったりするのは避けましょう。遮られた相手の脳が「わからない」状態になると、もう一度説明されてしまいます。
あえて相手の順番でチャンキングしたほうが、さらなるめんどくささが生じるのを防げます。
アウトプットの必勝パターンを作り出す
営業や接客をされている方などは、同じことを何度も説明することに、飽きたり疲れたりするかもしれません。
しかし、人に説明をする機会ほど、アウトプットの精度を上げるのに都合のよいことはありません。
説明能力の向上に利用しましょう。 同じ説明を何度も繰り返せば、小脳のフィードフォワード運動制御によって自然に上手になっていきます。
ここでさらに、「脳に何を学習させたいか」という目的を持って説明の仕方を変えてみると、自分に役立つ説明の練習に使えます。
手帳を分割して、文字を空間的に配置する
メモを書き直すときは、ノートや手帳を分割して、空間情報に変換して保存しましょう。
資料の空いているところに走り書きをしたとき、「確かあのページの端に書いてあったはず」とイメージで思い出すという経験はありませんか?
脳は、限られた記憶容量を最大限に利用するために、同じ空間のものをチャンキングして記憶する戦略をとっています。
また、空間情報で記憶した中でも、予測と少し異なるところに注意が向くので、分割した枠に書き直した後、最も重要なことを枠に従わずに書いてみましょう。
「○○みたいにやろう」とつぶやく
立て続けに打ち合わせや会議をしていると、目的や相手の違いに、頭が混乱してしまいます。
脳が体に動きを命じるとき、具体的な動きを1つひとつ命じると消耗するので、過去の記憶をもとに動きのチャンクをつくり、それをそのまま命じる戦略をとることがあります。
動作のチャンクを呼び出すには、メタファー言語が役立ちます。
「あの会議のときのように」「マネジャーのつもりで」「○○さんみたいに」と、臨む姿勢を「ある状態」に例えることができれば、動きのチャンクを呼び出すことができます。
脳に具体的な命令をすることで「めんどくさい」を解消
仕事の「めんどくさい」を簡単に解消するための14のコツを紹介しました。
- 「10秒歩き」で集中力を鍛える
- シミュレーションゲームのつもりで入力する
- 姿勢を正して、お尻をぐっとしめて集中する
- その日の戦略を決めて重要な仕事を優先する
- 「注意の構え」を変更する
- 朝、頭を上げる時間をそろえる
- 情報交換以外のメリットを得る
- 予定の「終わり」に焦点を当てる
- 獲得した語彙をアウトプットする
- ビジネス会話のチャンクをつくっておく
- 相手の話にチャンクを見つける
- アウトプットの必勝パターンを作り出す
- 手帳を分割して、文字を空間的に配置する
- 「○○みたいにやろう」とつぶやく
「めんどくさい」と感じる原因は、具体的に何をすればいいかわからないところにあります。
つまり、めんどくさいと感じたときにこそ、自分の中ではっきりと目的を作り出すことで、「めんどくさい」という気持ちを解消することができるのです。
考え方一つで、「めんどくさい」ことも解消されていくのです。