「デジタル終活」とは、一般にデジタル遺品と言われるモノを整理しながら、終活全体を考えていくことをいいます。
もし今、あなたが亡くなったら、家族はあなたのスマホやパソコンの中を見ようとするでしょう。
しかし、これが発端で残された遺族同士の関係が悪化するというケースもよくあります。
デジタル情報も大切な財産です。
今の時代に忘れてはならない、デジタル終活について紹介します。
また、終活についてやることリスト10選を紹介しているので、そちらもご覧ください。
デジタル終活とは
そもそも終活とは、「もしも」自分が死んだときに家族や周りの人が困らないように前もって準備しておくと同時に、「死」を見つめることによって自分の生き方を見直し生きがいのある人生を開いていくことをいいます。
そのために、エンディングノートを用意して終末期医療や介護などについて希望することをあらかじめ書き記しておいたり、生前整理をしてモノや人間関係を見直して断捨離をしたり、今できることから活動を初めていきます。
「デジタル終活」とは、デジタル機器に焦点をあてて、終活を勧めていくことをいいます。一般的にデジタル遺品と言われるものを整理しつつ、終活全体を考えていきます。
本質的には従来の終活とデジタル終活には大差ありません。単純に、整理するものの対象が変わるということです。
終活をすすめていくなかで、財産整理をする人は多いのですが、パソコンやスマホなどのデジタル情報を整理をする人はあまりいないのが現状です。
現代の高齢者には「デジタル」というと、言葉そのものに苦手意識を持つ人も少なくありません。また、自分には関係のないことだと感じる人もいるでしょう。
しかし現代社会はほとんどのところでデジタル化されており、「デジタル遺品」とよばれるものはほとんどの人が持っているといえます。
では、何がデジタル終活で、どのように向き合っていけばいいのでしょうか?
「デジタル終活」3つのポイント
デジタル終活の対象は、大きく分けると次の3つになります。
- パソコンやスマホなどの情報端末
- 写真や電子書籍などのデジタルデータ
- SNSのアカウントやアプリ、銀行や証券の口座など、ネット環境で使っているもの
パソコンやスマホなどの情報端末は、存在そのものを確認できるので、デジタル終活の対象として準備しやすいのですが、デジタルデータやネット環境でつかっているものは、忘れがちになってしまいます。
自分にもしものことがあったときのために、情報を整理しておきましょう。
パソコンやスマホなどの情報端末
これは、デジタル機器本体のことをいいます。
パソコン、スマホ、タブレット機器、フラッシュメモリ、ハードディスクなど、外部記憶媒体などがおもなものになります。最近ではスマホを2台併用して使う場合もよくあり、仕事や趣味など、都合によって使い分けている人もいるでしょう。
また、パソコンのデータ保存のために、外付けハードディスクを使用している場合、実は家族がそのことを知らないということもよくあります。
どのような末端やどのようなデジタル機器を持っているのかもう一度確認し、できれば一覧表を作って残しておき、その際には、ログインIDとパスワードを忘れないようにしましょう。
デジタルデータ
デジタル終活で多い相談が、故人の使っていたデータをパソコンやスマホから取り出してほしいという内容です。
スマホやパソコンには、大量のデータが保存されています。それは、仕事で使うものからプライベートなものまで多種多様にわたります。
仕事で使っているファイルなどは、すぐに取り出せるように整理しておきましょう。社長や役職のある人など、特定の人がデータを管理している場合は、特に注意が必要です。「もしも」のことは突然やってきます。パスワードがわからないということになれば、今後の仕事にも影響がでてしまいます。
写真は昔なら現像してアルバムに保管していましたが、現在はクラウドサービスなどにデータのまま保存していることが多くなりました。遺族が故人との思い出を振り返るとき、一番に見るのが写真です。また、どんな人と付き合いを持っていたのかも、写真を見れば良くわかります。
残しておくもの、残すとこまるものなどを整理しておくようにしましょう。
ネット環境で使っているもの
終活で一番ボリュームが大きいものは、この分野になります。
お金に関わるネットバンキングやネット証券の口座はもちろんですが、FXや先物など証拠金取引を行っている人は必ず準備しておくようにしましょう。
また、SNSを使用している場合も、必ずそのアカウントIDとパスワードを残しておくようにしましょう。あるいは、家族に見られたくないものであるならば、それらの情報はあらかじめ削除しておくようにしましょう。
今やインターネットには個人情報があふれています。日常では何気なく使っているネットサービスですが、そこには多くの情報が含まれています。自分に「もしも」のことがあったとき、家族にとって必要な情報はあらかじめ残しておかなければいけません。
同時に、残しておくと困るような情報も、ネット上にはたくさん含まれています。特にSNSでは、何気なしに書き込んだひとことが、のちのち遺族の争いのもとになるというケースもあります。できる限り見直すようにしましょう。
デジタル情報整理のコツ
「もしも」のことは、いつやってくるかわかりません。もし、突然に今自分が死んでしまったら、パソコンやスマホの中に入っている情報はどうなるでしょうか?
あなたは、スマホ残してして死ねますか?
そう聞かれて、不安になる人も多いのではないでしょうか。今のうちに、パソコンやスマホの中を整理しておきましょう。
コツは次のように分けることです。
- 残さないと家族が困るもの
- 残すと家族が困るもの
- 残さなくても特に困らないもの
残さないと家族がこまるもの
残さないと家族が困るものは、例えば金融機関の口座やネットサービスなどのログインIDやパスワード、仕事で使っているデータファイルなどです。
相談で多いのが、パソコンやスマホのデータ情報を取り出してほしいという内容です。スマホの画面がロックされていてログインできなかったり、パソコンに仕事のデータが入っているのにどこにあるかわからなくて困るケースが多いです。
またお金に関わることは特に問題になりやすく、ネットバンキングやネット証券を利用している人は、その口座情報をわかるように残しておきましょう。
残すと家族が困るもの
残すと家族が困るものには気をつけましょう。
例えば浮気相手の連絡先などは、死んでも家族にバレたくありません。
こういうものは、あらかじめ削除しておくか、誰かに依頼しておきましょう。
残すと家族が困るものを、万が一の時にちゃんと処分できるような対策として、次のようなものがあります。
- 「死後事務委任契約」で、専門の業者や友人に依頼しておく
- 死後にデータを削除してくれるソフトやアプリを設定しておく
- 専用のクラウドサービスに保管し、ブラウザもシークレットモードを使用する
など、もし見られたら家族が困るようなものは、あらかじめ対処しておきましょう。
残さなくても特に困らないもの
残さなくても困らないものは、言い換えれば残しても残さなくてもどちらでもいいものです。
データを整理していると、仕事の情報からプライベートまで多種多様にわたっていろんなものがでてきます。その多くは、残しても残さなくても、どちらでもいいものが多いでしょう。
でも、今はどちらでもよくても、、あとから考えると「やっぱり残そう」「やっぱり残してはだめだ」と思い直すこともあります。
ときどき見直すようにしましょう。
アナログで残しておきましょう
残しておくべきデジタルデータは、できるだけアナログで残しておきましょう。
パソコンやスマホのメモ機能やクラウドサービスなどに残しておくことも大切ですが、そこにログインすることができなければ意味がありません。
ノートなどのにまとめて、必要な情報を整理して残しておくようにします。
できればエンディングノートを活用するのもいいでしょう。
エンディングノートには、終活をするにあたって必要な項目があらかじめ書かれています。それを見ながら、自分が必要な部分を記入し、作り上げていきます。
エンディングノートには、IDやパスワードなどのデジタル情報を残しておくための記載欄がはじめからあるものもあります。また、自由に何を書き込んでもいいというフリースペースがあるものもあるので、そこに記録していてもいいでしょう。
終活はエンディングノートを書くことから始めることをすすめています。それは、デジタル終活に関しても同じことがいえます。
困ったときは、まずエンディングノートを用意しましょう。
スマホ残して死ねますか?
あなたは、スマホ残して死ねますか?
と聞かれたとき、心配や不安になった人は、今すぐでもデジタル終活を始めましょう。
スマホは個人情報の塊です。仕事もプライベートも、スマホ一台あれば生活ができるような時代になりました。
だからこそ、自分に「もしも」のことがあったときにスマホをどうするのか、考えておかなければいけません。
- パソコンやスマホなどの情報端末
- 写真や電子書籍などのデジタルデータ
- SNSのアカウントやアプリ、銀行や証券の口座など、ネット環境で使っているもの
この3つのポイントに注目し、今のうちから考えておく必要があります。
デジタル化が進んでいる社会にもかかわらず、デジタル終活をしている人はまだまだ少ないです。
自分に何かあったときに家族が困らないように、デジタル情報の整理をしっかりしておきましょう。