葬儀で気になる焼香のマナーです。
特に近年、家族葬が増えてきて、葬儀に参列することが減ってきているので、焼香をする機会もなかなかありません。
とはいえ、マナーを知らなければ、いざ参列するとなったときに困ります。
しかし、いろいろなところでマナーが紹介されていますが、いまいちよくわからないということが多いようです。
それは、マナー講師によって言うことが違うという点があると思います。
ここではお坊さんである筆者が、葬儀での一般的なお焼香のマナーについて疑問にお答えします。
焼香のマナー
葬儀や法事などの仏事で、必ずしなければならないのが、焼香です。
しかし焼香、どこか堅苦しく難しいイメージがあります。
焼香にもマナーがあるとされていますが、実はそれほど難しいものではありません。
まずは一般的な焼香のマナーを紹介します。
一般的な焼香のマナー
- 焼香台に進む前に、遺族・僧侶に一礼をします。
- 焼香台の前で合掌し、一礼をします。
- 香炉のお香をつまみ、額の前まであげて捧げるようにします。
- 静かに香炉の中に落とします。1回で十分です。
- 焼香が済んだら合掌し、一礼をします。
- 遺族・僧侶に一礼をして自分の席に戻ります。
焼香で本当に必要なこと
焼香で本当に必要なことは何でしょうか?
それは、気持ちを込めて「焼香をすること」です。
一礼をすることを忘れても、焼香の回数がわからなくても、問題ありません。
お坊さんは、そんなことを問題にはしません。
ましてや故人は何も思わないでしょう。
焼香は、焼香をすることが何より大切だということを理解しておけば十分です。
焼香の疑問
焼香について、マナーとは他にいくつか疑問があります。
葬儀での焼香の疑問にお答えします。
なぜ焼香をするのか?
香を薫じたり、体に塗ったりして悪臭をとりのぞき、香りを生活の中に漂わすインドの風習がもとで、それが仏教にも取り入れられました。
つまり、もとはにおい消しとして使われていたのです。
転じて、お香はその香りによって自分自身の身と心の汚れを落とし、清めるために使われます。
香は「仏の使者」ともいわれ、最上の供物になります。
仏さまや故人に食べ物をお供えしても、それを直接食べることはありません。
しかしその香りは届けられるといわれています。
祭壇や仏壇にも中心にお線香を立てて、焼香を真ん中に置くのは、それほど大切なものであるという証なのです。
焼香の回数は?
宗派によって焼香の回数は違います。
葬儀に参列する場合、自分の宗派の教えに従ってください。
おおよそ1回から3回の場合が多いでしょう。
また、葬儀会場や火葬場での法要の場合、決められている場合があります。
時間短縮などの都合によって1回でと言われるなど、指示がある場合がありますので、その時は指示に従いましょう。
そのうえで、焼香は1回すれば十分です。
大切なのは、その人を敬う気持ちと、焼香をすることです。
回数はまったく気にする必要はありません。
数珠は必ず必要?
必ず持つ必要はありません。
なくても気にしなくて大丈夫です。
数珠を忘れて、焼香に進む際に家族間で貸し借りをする様子をよく見ますが、わざわざそんなことをする必要はありません。
数珠がなくても、平然と焼香に進んで問題ありません。
もし、まだ数珠を持っていない人で、これから購入しようと考えている人は、数珠の買い方をわかりやすく紹介しているので、こちらもご覧ください。
回し焼香はどうすればいい?
回し焼香とは、参列者が焼香をするために香炉に向かって進むのではなく、参列者が座ったままで香炉が順番に手元に回ってくる形式の焼香です。
基本的に作法は同じで、難しく考える必要はありません。
香炉が回ってきたら合掌して一礼し、焼香をします。
終わったら次の人に回しましょう。
自宅で焼香するなら
自宅で葬儀や法事など、仏事を行うときは、焼香を用意しておく必要があります。
- 香炉
- 焼香
- 灰
- 炭
など、必要なものを準備しておきましょう。
焼香することが大切
焼香は、自分自身の身と心を清めると同時に、香りを仏さまや故人に捧げて供養することをいいます。
焼香するときに大切なことは、遺族や僧侶に一礼することや回数などではありません。
焼香で大切なことは、焼香をすることです。
心を込めて焼香をすれば、お辞儀を忘れても回数を間違えて問題ありません。
供養のために、しっかりと心を込めて焼香するようにしましょう。