大切な家族が亡くなったときには、心静かに、そして安らかに送ってあげたいと思うのは当たり前のことです。
しかし、突然のことで忙しく、またほとんど知識がない中でお葬式を行わなくてはいけません。
葬儀会社の勧めるとおりにものごとを運ぶと、知らない間に追加費用がかかっていることもよくあります。
不要なトラブルを起さないためにも、特に「安いお葬式」のプランには気をつけましょう。
【お葬式は本当にいらないのか?】やるべき大切な理由とは?誰のためのお葬式か
お葬式のお金の問題
遺族となってお葬式に関わるときになって、はじめて直面する5つの問題があります。
- 経験がない
- 知識がない
- 情報がない
- 時間がない
- 余裕がない
このような状況から、遺族は葬儀会社のすすめられるままにプランの内容を選択し、お葬式を執り行うことがよくあります。
すると、知らず知らずのうちに追加費用がかかってしまい、結果莫大な葬儀費用がかかってしまうということも少なくありません。
実際、お葬式の費用が不透明だとしてトラブルが起こり、消費者センターに寄せられる相談が、毎年700件以上もあるといわれています。
経験がなく、知識がなく、時間も余裕もない中で、ゆっくり検討することができずに葬儀会社の言いなりになってしまい、お葬式が終わって請求書を見たときに始めて気がつくのです。
ここには、葬儀の料金体系が複雑になっているという実態があります。
では、実際にどんなところに費用がかかっているのでしょうか。
広告の「○○万円~」は基本料金
お葬式の広告を見てみると、「○○万円~」と書かれていて、安いなあと思うことがあります。
しかし、その料金は単なる基本料金が示されているに過ぎず、そのほかに必要な費用が含まれていない場合があります。
例えば、遺体を病院から葬儀会場、あるいは葬儀会場から火葬場へと搬送するための寝台車や霊柩車、遺体の安置と保管でかかるドライアイスなどの費用、お骨を入れる骨壺など、このような必ず必要なものの費用が、プランの中に含まれていないということもあります。
遺体の搬送や遺体の安置など、自分たちでできないことは葬儀社に頼むほかありません。
すると必然的に追加費用がかかって、広告にみられる「○○万円」をはるかに上回る金額を請求されることになるのです。
まえもっていくつかの葬儀社に見積もりを取り、最終的にどれくらいの費用がかかるか調べておくことが大切です。
できることなら、自分自身でいくつかの葬儀社をまわり、直接に話を聞いて見積もりをとってもらうのがいいでしょう。
しかし、なかなかそのような時間をとるのが難しい場合もあります。最近では、インターネットで葬儀の相見積もりをとってくれるところもあります。
葬儀社の一括見積もりサービスを利用して、相見積もりをとってもらい、お葬式にかかる費用を確認しておきましょう。
意外と知らないお葬式の費用の詳細
お葬式には、実際どんなところに費用がかかっているのでしょうか。
いくつかあげてみると、次のようなものがあります。
- 遺体を搬送する「寝台車」の移動料金は、葬儀社が独自に決めることができます。病院から葬儀会場までの搬送費用は2万円以内が妥当とされています。
- 遺体の安置と保管場所に費用がかかります。総額で5~6万円前後が目安とされています。また、一日あたりドライアイス10キログラムが必要で、1万円程度が目安です。ただし、お葬式の日にちが遅くなり、遺体の安置保管する日が増えると、それだけ費用も多くなります。
- 遺体に特別な処置を施す「エンバーミング」は、専門の資格を持った人が必要なので、それだけ費用も高額になります。2~8万円くらいとされています。
- 「枕飾り」「中陰棚」は、セットで2万円くらいといわれています。故人をお祀りするための道具で、特に菩提寺のある人は必ずと言っていいほど必要なものでしょう。
- 「棺」は使用する素材によって金額がかわります。数万円程度が一般的ですが、さらに高価なものもあります。
- 訃報のお知らせは、あとからハガキで出すこともできます。落ち着いたときに自分で作成して印刷する方が、安く済ませることができます。
- お葬式の費用を左右するのは「祭壇」です。どうしてもここに一番費用がかかります。白木の簡素な祭壇から、生花をを豪華に飾った花祭壇など、ピンからキリまであります。これによって費用も数万円から数百万円かかります。
- 「遺影」を用意する場合は、写真1枚につき2万円くらいからといわれています。最近は映像で映し出すものがあったりと、いろいろな形の遺影があります。
- 「通夜振る舞い」や「精進おとし」など、親戚や参拝者に対する接待にも費用がかかります。このような飲食に関する費用は、常識の範囲内で判断すればいいでしょう。居酒屋の宴会プランと同程度で十分ではないでしょうか。
- 火葬をするにも費用がかかる場合があります。公営の火葬場は0円から、民営の火葬場となると数万円から数十万円の費用がかかることもあります。
- 骨壺にも費用が必要な場合があります。火葬場によっては持ち込み禁止のところもあります。
これらの金額は、各業者でまちまちです。
葬儀プランに含まれているかどうかも、それぞれの葬儀社によって違います。
広告に打ち出されている費用には、これだけのものが含まれているかどうか、気をつけてみるようにしましょう。
お葬式以外でかかる費用
お葬式以外にも、いろいろなところで費用がかかります。
また、故人の遺志によって選択した方法が、かえって費用を大きくさせる場合もあります。
死亡診断書にも費用がかかる
人が亡くなったことを証明するのが「死亡診断書」です。
これがないと、その後に火葬する際の「火葬許可証」がもらえません。
火葬許可証がないと、お葬式をすることもできません。
戸籍上でも死亡したことにはならないので、相続の手続きや、所得税や住民税などの課税関係の手続きもできません。
死亡診断書は必ず書いてもらわなければいけません。
平均は1通5000円前後とされています。
金額は病院が自由に設定できるので、病院によって金額の差がでてきてしまいます。
「自宅で死にたい」にも費用がかかる
自宅でなくなった場合「死体検案書」という書類が必要になります。
検案とは、医師が死体に対して死亡を確認し、死因や死亡時刻、異常死などの鑑別を総合的に判断することです。
病院や医師の診療のもとにあるときに亡くなれば、これらは明らかですが、それ以外の場合だと検案を受けるまではわかりません。
そこで、自宅などでなくなった場合は指定医が呼ばれて判断されることになります。
指定医は時間帯に関係なく呼ばれるので、時間外手当や往診料、診断書発行料などがどうしてもかかることになります。
そのため、料金は割高になってしまうことがほとんどです。
平均的には7000円程度といわれていますが、数万円になる場合もあるといわれています。
「自宅で死にたい」という希望のうらには、こうした実情があることも知っておかなければいけないでしょう。
病院が紹介する葬儀社は高い
病院で亡くなるケースがおよそ8割とされ、ほとんどの人は病院で治療中に亡くなっているのが現状です。
実は病院は、葬儀社にとってはお金を生み出す魅力的な営業窓口であるといわれています。
病院で葬儀社を紹介してもらうとき、その紹介料が葬儀社から病院へ支払われているという場合があります。
公正取引委員会の調査報告によると、遺体1体につき数万円、かつ年間で1000万円以上のキックバックを、病院へ支払っている葬儀社もありました。
また、遺体搬送をすみやかに行うために従業員を病院の近くに待機させておけば、その分の費用もかかります。
それらの費用はどこから捻出されているのでしょうか。
実は、病院で紹介される遺族の葬儀費用に上乗せされているのです。
「病院が紹介する葬儀社は高い」といわれるには、このような背景があるのです。
お葬式の事前相談
お葬式は時間もなく、心に余裕もない中で行わなければいけない場合が多いです。
そんな状況の中でえらんだ選択肢が、後になってトラブルを生み、後悔することになっては、せっかくのお葬式も台無しになりかねません。
お葬式でお金のトラブルにあわないために、まえもって葬儀社に見積もりを取ってもらうようにしましょう。
インターネットで葬儀の一括見積もりサービスを利用するなどすれば、簡単に相見積もりをとることもできます。
一社に絞らず、かならず何社かの相見積もりをとり、比較して選ぶようにしましょう。