「親の介護」が社会問題になりつつあります。
75歳を過ぎると、介護が必要になる人の割合が急激に増え、それにともなって仕事を辞めて介護に専念する人が増えてきています。
親の介護に専念することは、とても大切なことであり、すばらしいことです。
しかし、まだまだ働き盛りの40代50代の人が仕事を辞めることは、大きなデメリットも含まれています。
できることなら、介護と仕事を両立しながら進めていきたいものです。
ここでは、介護と仕事を両立していくためのコツやを紹介します。
また、親の介護離職の問題とメリット・デメリットについても紹介しているので、あわせてご覧ください。
介護と仕事を両立させていくコツ
親の介護のために、仕事を辞めざるを得ない人が増えてきています。
しかし、40代50代の、まだまだ働き盛りの人が仕事を辞めて介護に専念することは、メリットがあると同時にデメリットも大きくなります。
介護離職をする前に、介護と仕事を両立していくためのコツを知っておきましょう。
家族の介護が必要であることを伝える
まずは、家族の介護が必要であることを、職場や周りの人に言うようにしましょう。
介護となるとプライベートのことだと思い、仕事と切り離して考えてしまいます。
そのために、周りの人に介護が必要な人がいることを伝えていない人が多くあります。
介護は自分だけのことではなく、誰もが直面する問題です。
介護が必要なことを周りに伝えておくことで、突然の遅刻や早退、休暇が必要になったときでも、同意を得られやすくなります。
また反対に伝えていなければ、勤務態度がよくないなどの悪い影響を生み出しかねません。
周りの理解を得ることで、精神的にも負担の軽減になるでしょう。
さらに、必要に応じて介護休暇や介護休業の取得をすることもできるので、介護を行っていることを伝えるのは大きなメリットとなるのです。
介護保険サービスを利用する
「親のことだから」といって、自分で責任を感じ、何から何まで抱え込んでしまう人も少なくありません。
しかし、介護をするということはとても重労働です。介護のすべてを自分ひとりで行っていたら、時間がいくらあってもたりません。
仕事と介護の両立を考えているなら、しっかりと介護保険サービスを利用するようにしましょう。
どのようなサービスを受けるかは、ケアマネージャーとの相談によって決めていきます。
そして、サービスの範囲でできることは、できるだけ任せるようにしましょう。
また、保険適用外でも介護サービスを行ってくれる事業者もあります。
費用面でいうと少し高くなってしまいますが、24時間365日にわたっていつでも対応してくれるうえに、介護保険では行えないサービスまで幅広く要望に応えてくれます。
このようなサービスを使えば、急に仕事が入っても安心して仕事に打ち込むことができます。
ここで大切なのは、「自分で介護をしすぎないこと」です。
仕事と介護を両立させるためには、使えるサービスはどんどん使っていきましょう。
早めに介護保険の申請を行う
介護保険の申請を行ってから、要介護認定されるまでの期間は、原則として申請日から30日以内とされています。
そのため、場合によっては要介護度が決定するまでに一ヶ月ほどかかることもあるのです。
しかし、決定された要介護度は申請日にさかのぼって有効とされます。
つまり介護保険の申請中であっても、介護保険サービスの利用をすることができるのです。
たとえば病院から在宅に戻ったあと介護が必要だという場合、介護保険の申請と同時に、入院中に介護保険サービスの申請をしてしまいましょう。
そうすることで、退院後はすぐにサービスを受けることができるのです。
ケアマネージャーになんでも相談する
ケアマネージャーは、要介護者と介護する人の希望をくみ取りながら、ケアプランを作成します。
ケアプランは見直しが可能ですので、仕事の都合やその時の状況に応じて介護保険サービスを変更していくことができます。
介護している人は、「自分の親だから」といってかかえこんでしまう人が少なくありません。
すると、「ケアマネージャーに相談するのは気が引ける」「申し訳ない」「大丈夫大丈夫」と言ってそのまま時間が過ぎることになります。
介護サービスは、要介護度によって受けることができるサービスが変わってきます。
しっかり相談することがないと、要介護度の変更ができず、本来受けたほうがいいサービスも受けられなくなってしまいます。
もし相談しにくい場合は、ケアマネージャーを変更することもできますし、市区町村の地域包括センターに相談することもできます。
安心して負担なく介護をしていくために、かかえこまずに相談するようにしましょう。
自分の時間の確保をする
何度も言いますが、仕事と介護を両立していくためには、自分ひとりでかかえこんではできません。
自分自身のメンタルを適宜正常に保っていかなければ、場合によっては共倒れになることもないとはいえません。
「介護うつ」ということもいわれるように、精神的にどのように保ちながら介護を進めていくかということは、とても大切なことです。
そこで、ときには「自分の時間」を確保するようにしましょう。
介護している人も、自分の人生を歩んでいるのです。
介護はいったん始まると、終りが見えません。
介護を深刻に捉えすぎることなく、自分の時間を確保していくことが、仕事と介護を両立していくためにとても大切なことなのです。
制度の利用と自分のメンタル
仕事と介護の両立は、とても大変なことです。
しかし、できないというわけでもないでしょう。
大切なのは、「制度の利用」と「自分のメンタル」だと思っています。
いかにうまく、介護サービスなどの制度を使っていくか、あるいは介護休業や介護休暇などを利用するか。
また、仕事と介護を続けていくために、自分のメンタルをどのように保っていくか。
たとえ自分の親のことであっても、制度や周りの人を巻き込みながら、みんなで介護していくことが大切なことです。
自分には何が必要なのか、しっかりと考えて、後悔のないようにしていきましょう。