『観音経の教え』簡単に解説!法華経の理念を実践する三十三変化の観音菩薩

『観音経の教え』簡単に解説!法華経の理念を実践する三十三変化の観音菩薩 仏教

多くの人に愛される「観音菩薩」

この観音菩薩を中心とするお経に『観音経』と呼ばれるものがあります。

いろいろな宗派で読まれ、親しみのあるお経のひとつですが、一体どんなお経なのでしょうか。

『観音経』について簡単に解説します。

また、ほかの経典も紹介しているので、あわせてご覧ください。

『観音経』の教え

『観音経』とは、一般的に普門品と呼ばれている『法華経』の観世音菩薩普門品第二十五のことをいいます。

『法華経』の一部分を取り出して、それを独立した一つの経典として扱われているのです。

『観音経』は人々に人気のある経典のひとつで、天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗などで広く読まれています。

なかでも後半部分の韻文の偈文は「世尊妙相具」ではじまることから「世尊偈」ともよばれ、特に多くの人によって読まれています。

観音菩薩の浄土と東アジアの観音信仰

観音菩薩の浄土は、インド南端の海岸にある補陀落山とされていますが、中国では東シナ海の舟山群島の普陀山にあてがわれ、そこが観音菩薩の浄土であると考えられました。

チベットでは、法王であるダライ・ラマが観音菩薩の化身であると信じられています。

そして、チベットこそが観音菩薩の浄土であるとされ、ダライ・ラマが住んでいたポタラ宮は、補陀落を意味するインドの言葉で「ポータラカ」に由来するといわれています。

日本では、熊野灘の那智湾から南海にある観音の浄土である補陀落山を目指して僧侶が船出したといい伝えられる、補陀落山寺があります。

また、日光には補陀落の別名である「普陀落」に由来する「二荒(ふたら)」を「にこう」と読み、それが日光に書き換えられたという説があります。

観音霊場の巡礼と三十三変化

日本では古くから聖徳太子が観音菩薩の化身であるとする説があり、奈良時代から平安時代以降も、観音信仰はますます広がり、各地に礼譲が誕生しました。

『観音経』のなかでは、観音菩薩は三十三の姿に変化するとされており、「三十三身十九説法」が説かれています。

三十三身とは、観音菩薩が三十三の姿形にその身を変化させ、人々に法を説くことをいいます。

そして姿を変えるのにともなって、説法の方法も変わり、十九種類の説法の様式になります

観音菩薩が三十三の姿に変化することにならい、三十三所の霊場が作られ、人々によって巡礼されるようになりました。

西国三十三所板東三十三所など、霊場の巡礼は今なお盛んに行われています。

観音菩薩の功徳

『観音経』に説かれている観音菩薩は、『法華経』の理想を体現し、『法華経』の教えを実践する菩薩です。

観音菩薩の名を称え、あるいは礼拝することで、多くの功徳を得ることができると説かれています。

まず観音菩薩は、衆生の七難を救済します。火難水難羅刹難刀杖難鬼難枷鎖難怨賊難の七難は、日常生活でいつおそってくるかわからない、不慮の災厄です。

そんなとき、観音菩薩の名を称えれば、観音菩薩はこの七難を取り除いてくれるといいます。

次に、貪欲瞋恚愚痴の三毒煩悩をのぞき、それらの心を慈悲勇猛心智慧に転換させる方法が説かれています。

観音菩薩を念じると、この三毒を消し去り、煩悩を除くことができる智慧をえることができるとするのです。

また、漢音菩薩を礼拝すると子宝に恵まれ、理想的な子どもを望み通りに授けられるといいます。

さらに、観音菩薩の名号を礼拝することは、62億恒河沙もの菩薩を供養することと同じだけの功徳があると説かれています。

それだけたくさんの功徳があるといわれていることから、各地で『観音経』が読まれ、霊場ができ、多くの人に親しまれるようになっていったのです。

最後に

『観音経』について紹介しました。

『観音経』で説かれている観音菩薩には、その名を称え、あるいは礼拝することによって、とても大きな功徳を得ることができるとされています。

日常をより平穏に暮らしたいという人々の願いが、そうした観音菩薩の功徳をもとめ、そして多くの信仰を集めていったのでしょう。

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