日本人に昔からなじみのある「お寺」
お寺は全国におよそ77,000ヶ寺あります。
しかし、そもそもお寺とは何なのでしょうか?
ここではお寺とはどういう場所なのか、お寺とは何なのかを簡単にわかりやすく解説します。
お寺のはじまり、インド・中国・日本のお寺についてはコチラでも紹介しているので、あわせてご覧ください。
お寺とは?
「寺」と「寺院」
「寺」は、中国で古くは中規模の役所を指す言葉でした。
それが建物の構造が似ていることから、日本では仏教の宗教施設のことを「寺」というようになりました。
具体的には6世紀の中頃、朝鮮半島から百済国から伝えられたという仏像が祀られ、仏教の教えを説く教典が収められ、それらを信仰する僧侶や尼僧が住む施設が作られました。
そして仏教が成り立つ宗教施設が「寺」とよばれ、日本の人々の間に広まっていきました。
「院」はもともと、寺の中で故人の供養をするために作られた建物のことをいいます。
元来、寺は国に許可を得て作られた施設であるのに対し、院は国の許可が不要な建物なのです。
寺も院も、仏様あるいは故人を祀る施設として存在しているので、合わせて「寺院」という表現を使うことがあるのです。
現在のお寺の意義
お寺はもともと、僧侶が修行をする場所として建立されました。
インドから中国をわたり、そして日本に仏教が入ってきたときには、国家仏教として、国の天下泰平を祈るための宗教として取り入れられました。
国の平和を祈るためには、身心ともに清らかでなくてはならない、そのために僧侶は修行をしたのです。
国のためにと取り入れられた仏教が、鎌倉時代になると庶民ひとりひとりの苦しみを救うためにと新しい考え方が生まれました。
法然はその先駆者といえるでしょう。
こうして庶民に身近な存在となった仏教は、人々を救うためにさまざまな行事を始めました。
中でも先祖供養はその最たるものです。
こうしてお寺は、現在まで人々の心のよりどころ、安らぎの場所として、存在し続けているのです。
お寺のなかにある建物
日本の仏教は紀元前後から興った大乗仏教で成り立っています。
そのためお寺も、複数のお堂と僧侶の生活スペースである宗教的空間から構成されています。
日本のお寺の中心となるのは、その宗派の本尊を安置する仏堂で、これを本堂といいます。
阿弥陀如来、釈迦如来をはじめ、多くの仏様は金色に作られているので、それらを安置するお堂を「金堂」とよばれることもあります。
仏教が発祥した場所であるインドでは、仏堂よりも先に僧侶が生活する僧院が主なスペースでした。
お寺の中の仏像を祀るお堂
宗派を開いた開祖やお寺を開いた開山上人を祀るお堂を「祖師堂」や「開山堂」といいます。
また宗派の本尊以外を祀るお堂をその仏像に合わせて「阿弥陀堂」「釈迦堂」「観音堂」「大日堂」「地蔵堂」「明王堂」などとよびます。
平安時代以降、関西を中心にたくさん建立された密教系の寺院では、その修行に使われる「灌頂堂」や「護摩堂」などが建立されました。
密教の免許皆伝を示す灌頂の儀式に用いられる灌頂堂は、東寺や神護寺などの古いお寺に認められます。
護摩を焚く護摩堂は、専用の空間が必要ですが、ご祈祷をするのに必要不可欠なものなので、密教系の寺院のほとんどに設けられています。
お寺にあるさまざまなお堂
機能的に完備された中国の大寺院では、用途にあわせてさまざまなお堂が造られました。
勉強をするためのお経を保管しておくための「経蔵」
共同生活をしている僧侶たちが食事をするための「食堂」
僧侶が集まって勉強をするための「講堂」
釣り鐘を納めている「鐘楼」
日本でも仏教が伝来した当時から、このようなお堂が造られ、活用されているのです。
お寺の門の意味
日本の仏教寺院において不可欠な門。
インドでは元来、聖なる仏塔を取り囲む形で造られた四方にある出入り口のことでした。
しかし中国へ渡り、寺院に外壁が設けられると、門は聖域への入り口として重要な役割を持つようになりました。
お寺の規模
お寺の分類
お釈迦様がインドに生まれてのち、仏教が広まった世界中の地域には、おそらく百万を超す大小様々な寺院がつくられ、そして消えていきました。
現在日本で宗教法人として登録されているお寺はおよそ77,000ヶ寺あるとされています。
よく見るお寺を外見と形態の点から分類すると、次の様に分類されます。
1、規模
- 大寺院:さまざまなお堂や仏塔、山門をもつ、本山など
- 中寺院:本山に準ずる寺院
- 小寺院:街中にある小規模な檀家寺院など
2、本末関係
- 本山寺院:宗派の中枢となる大寺院
- 別格寺院:本山に準じる寺院
- 末寺寺院:本山の下に連なる寺院
3、所在と位置
- 平地寺院:奈良時代の大寺に代表される町中の寺院
- 山岳寺院:山岳修行を基本とする、山の中に建てられた寺院
お寺の規模
寺院の規模でいうと、多様な諸堂や仏塔を有する大寺院は、各宗各派の本山となるお寺や、歴史の古い南都七大寺、京都五山などがそれにあたります。
中寺院は、十分に確立していないが本山に準じている別格本山や、霊場の札所寺院がそれに該当します。
小寺院は、一般の町中や村落にある檀家寺院や、祈祷の依頼者が訪れる信者寺院をさします。
お寺の本末関係
本山と末寺の関係は、江戸時代に確立された、本山寺院を中心とする宗派を統制するためのシステムです。
大・中・小寺院がそれぞれ本山・別格本山・末寺に対応する場合が多いです。
お寺の所在と位置
お寺の所在地から見た場合、ひとつは平安時代の山岳寺院があげられます。
比叡山延暦寺や高野山金剛峯寺、日光中禅寺などがそれにあたります。
いっぽう鎌倉時代になると、仏教が庶民向けに広まっていったので、町中に造られるようになりました。
京都の禅宗寺院である建仁寺や、神奈川の総持寺などがそうです。
最後に
お寺について紹介しました。
お寺のことをよく知って、身近に感じることで、より味わい深いものにしていきましょう。