「終活」は、自分が突然の病気で倒れてしまったり、あるいは万が一にも急に亡くなってしまったとき、そのあとに残された遺族が困らないように、医療や介護、お葬式、財産の相続などに関して、あらかじめ整理して準備しておくことをいいます。
どうしても、終活というとネガティブなイメージが起こりますが、実はとても大切なこと。いつ自分が倒れて話ができなくなるかもわかりませんし、もしかしたら事故などで急に死んでしまうかもしれません。「死」というのは、明日は我が身の出来事なのです。
元気のある今だからこそ、ちゃんと自分の身の回りのことを見直して、そして自分の「死」を見つめることで、残りの人生を生きがいのある豊かなものに変えていくようにしましょう。
また、終活では多くのことに目を向けて考えていかなければいけません。
終活の「やることリスト」準備しておくべきこと、必要なことを紹介していますので、こちらも参考にしていただき、どのような準備をしていかなければいけないか確認しておきましょう。
終活は「エンディングノート」から
数年前から「終活」が話題となり、今では言葉を知らない人はいないのではないかというくらい一般的になりました。
ところが、終活を始めるにしても、何から初めていいかわからない人がほとんどではないでしょうか。
ひとことで「終活」といっても、考えなければいけないことはたくさんあります。
・医療 ・介護 ・年金 ・保険 ・身元保証 ・財産 ・相続 ・遺言 ・お葬式 ・お墓
などなど、考え出したらあまりにもたくさんのことを考えなければいけなくなり、結局どこから手をつければいいのかわからないといった状況でもあります。
そのような人には、最初の一歩としてエンディングノートを書くことから始めましょう。
ひとくちに終活といっても、例えば医療に関することをひとつとってみても、終末期医療はどうするのか、緩和ケアはどうするのか、在宅医療を望むのか、延命処置はどうするのか、尊厳死は費用はどうするのかなど、考えることがあまりにも多岐にわたります。それらを全部まとめてやってしまおうというのは、正直無理な話です。
そこで必要なのが、エンディングノートです。
まずは自分の考えを、一冊のノートにまとめましょう。頭の中で思い描いているだけでは、情報が混乱して整理がなかなかつきません。
エンディングノートは、「自分の人生の最期を、どのように迎えたいのか」を考えるためのガイドブックです。
後悔しない最期を迎えるためにも、エンディングノートをうまく活用していきましょう。
エンディングノートの目的
エンディングノートの存在を知っていても、実際に書いている人はほとんどいません。
その裏には、「自分はまだそんな年齢じゃない」「自分が死ぬことを考えたくない」という思いが大きな理由となっています。
自分の死期が近づいてきてから考えているようでは、時すでに遅しというものです。
また、終活を初めてエンディングノートを書くということは、自分の生き方を見直し、今後の人生をよりよい豊かなものに変えていくということにもつながります。
今自分が何を考えているのか、何をしたいのか、財産はどれだけあり、子どもや孫、家族のために何を残してあげられるのか、最期の時までに何をすることができるのか、それらを改めてよく考えることで、自分自身の心を見つめ直すことができます。
つまり、エンディングノートを書く目的は、「死ぬ準備」だけでなく、「どう生きるか」を考えるためにあるのです。
後悔しない人生を送るために、「どう生きるか」を考えるためにも、エンディングノートはとても大切な役割があるのです。
失敗しないエンディングノートの書き方
終活を始めるなら、エンディングノートを書くところから始めましょう。
どころが、エンディングノートをかったのはいいけれど、途中で挫折してやめてしまったという人がよくいます。たかだか一冊のノートのように見えますが、その中にはたくさんの情報が詰まっていて、考えることが多いので、書くのがイヤになってしまう事が多いのです。
そこで、挫折しないエンディングノートの書き方を紹介します。
最初のページから書かない
エンディングノートを書くほとんどの人が、ノートの最初のページから順番に書こうとすると思います。しかし、これが一番の挫折の原因にもなります。
真面目な人ほど、子どもや孫、周りの人に迷惑をかけたくないと考え、きちっと準備をしなければと思うことでしょう。そして、そのためにエンディングノートもきちっと書き記して残しておこうと思うはずです。
しかし、ノートの中には自分に興味のない項目や、今考えてもどうしようもないこともたくさん含まれています。そんな中で、すべての項目に記入していくことは大きな負担になります。
エンディングノートを用意した以上、すべて書かなければいけないという義務感が、逆にプレッシャになり、苦になって挫折してしまう原因になります。
はじめから順番に書いていく必要はありません。リラックスして、興味のある項目から記入していくようにしましょう。
全部書く必要はない
終活を始めると、考えなければいけないことがたくさん出てきます。しかし、その中には自分ではどうしようもないことだったり、なんでもいい、興味のないものだったりすることもでてきます。
今の段階では興味がなく、あえて決める必要もないことを、早々に決めてしまうことは、あとあと後悔することにもつながる場合があります。
エンディングノートは、今、自分が興味を持っていることだけ書いておけば十分です。書きたくなかったり興味のないところは、今の自分には必要のないところなので、気にせずに空白にしておきましょう。
書いている途中でやめてもいい
自分の気になる項目を書き切ったときが、エンディングノートの完成です。全部の項目を書き切る必要はありません。
また、今は自分に必要なくても、あとから必要になる場合もあります。時間がたてば、考え方も変わっていくでしょう。
終活は、周りに迷惑をかけないように事前に準備すると同時に、残りの人生を後悔なく生きていくためのものでもあります。エンディングノートも、それを通して自分自身の生き方をもう一度考えるきっかけになるものです。
あわてず、あせらず、ゆっくりと、ノートと向き合い、そして自分自身と向き合っていきましょう。
エンディングノートは自由に書こう
エンディングノートに法的拘束力はありません。
だから書式にとらわれることなく、自由に、思いのままに書くことができるのが、エンディングノートの大きなメリットでしょう。
書きたいことを書けばいい。
書きたくないことは書かなくていい。
残される家族のために、伝えておきたいことをしっかり書き残しておきましょう。
エンディングノートの書き方についてはこちらでも紹介しているので、合わせてご確認ください。
おすすめのエンディングノート
エンディングノートには、多種多様なものがあります。書店へ行ってみても、本当に多くのエンディングノートが置かれているので、どれを買えばいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
エンディングノートは、自分の情報や、老後の希望を書き残しておくためのノートです。逆にいえば、自分の情報や老後の希望を書き残すことができれば、どんなノートでもいいのです。
とはいえ、それらをイチからまとめることはかなりの労力になります。
おすすめのエンディングノート10選を紹介しているので、参考にしていただき、自分にあったエンディングノートを作り上げましょう。
まとめ
終活を始める時は、エンディングノートを書くことから始めましょう。
あまり難しく考える必要はありません。また、無理してエンディングノートを書ききる必要もありません。
- 最初のページから書かない
- 全部書く必要はない
- 書いている途中でやめてもいい
ということを意識することで、自分が本当に必要としている項目のみに集中することができます。
自分に今何が必要か、何を考えて、何を伝えていかなければいけないのか、そういったことを、エンディングノートを書くことを通して、あらためて考えていただければと思います。