いいことをすれば必ずいいことが自分に返ってくる。業の報いについて

仏教

ブッダの教え『ダンマパダ(法句)』について、ここでは「第一章」にある法句16について、その内容を紹介します。

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いいことをすればどうなるのか?

善行の者はこの世で喜び あの世で喜び、両世で喜ぶ

かれは喜び、かれは満ちる 自己の業の清まりを見て

「法句16」

信者ダンミカのものがたり

この法は、ブッダがジェータ林(祇園精舎)に住んでおられたとき、ダンミカという信者について説かれたものです。

サーヴァッティに五百人の信者がおり、それぞれの信者にはまたそれぞれ五百人ずつの信奉者がいたといわれています。そのうちの最年長者であるダンミカには、七人の息子と七人の娘がいました。かれは戒をまもり、善法をそなえて、布施を分かち合えることを喜ぶ者でした。

のちにダンミカは病気になり、体力も気力も衰えてきました。かれは法を聞きたいと思ってブッダのもとに「八人か十六人の比丘にお越しいただきたい」と遣いをだしました。比丘たちは遣わされてそこへ行くと、求めに応じて法を説きました。

その瞬間、六天界からあらゆる飾りをつけて、千頭の駿馬をつないだ大きな六台の車がやってきました。比丘たちの中に立った神々は、「われわれの天界にお連れいたしましょう」と語りました。しかしダンミカは、教えを聞くことが中断されてしまうことを望まず、「お帰りください、お帰りください」と言いました。

このとき、神々はダンミカだけに見えて、比丘や子供たちには見えていませんでした。そのために、比丘たちは自分に「お帰りください」と言ったものだと思い、沈黙して帰って行ってしまいました。子どもたちも、かれが死を恐れてのことだと思いました。

しばらくしてダンミカは記憶を取り戻して、子どもたちに自分が神々を見て話したこと話し、子どもたちは比丘たちが帰ったことを話しました。

まもなくダンミカは死に、兜率天に生まれました。そこは、子どもたちが「あらゆる菩薩や仏や母父が住んでおられる兜率天宮は楽しい」と言ったところです。

のちに、ブッダは比丘たちにダンミカのことを話し、「不放逸の者は在家者であれ、出家者であれ、どこにおいても喜びます」と言って、この偈を唱えられまいた。

これがこの因縁話です。

いいことをすればいいことが返ってくる

仏教には「業」という考え方があります。

業という自分自身の行った行為は、いつか必ず自分にその報いとして返ってきます。

いいことをすればいいことが自分に返ってくるし、悪いことをすれば悪いことが自分に返ってきます。

それは来世でも同じで、いいことをすればいいところに生まれて、悪いことをすれば悪い所に生まれます。

さまざまな善を働き、功徳を積む人は、「私は悪いことをやめて、いいことをしている」と言って、この世でその行為を喜び、あの世でもその果報に喜びます。この世でもあの世でも、喜びに満ちているのです。

それは、後悔することもなく、とらわれることもない、清らかな心で満たされているのです。

どんな人でも、まずはいいことをするところから始めるべきです。それはほんの些細なことでも、欲を捨てて他人のために行動することの大切さを教えているのです。

いいことをして、悪いことをやめることこそが、人間としての正しい生き方なのです。

この偈は、法句15と対になっています。どうぞあわせてお読みください。

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