皆さんはつらい出来事に遭遇して「この不幸せはいつまで続くのか」と感じたことはないでしょうか?
さて、不幸せは実際のところ、いつまで続くのでしょうか?
不幸せはいつまで続くのか?
私たちは一時的に「幸せ」や「不幸せ」を感じることはありますが、その感情がずっと続くことはありません。
幸せも不幸せもいつまでも続かない
心理学では、幸せも不幸せも、いつまでも長く続かないとされています。これをアメリカの心理学者であるダニエル・カーネマンは「満足のドレッド・ミル(ヘドニック・トレッドミル、快楽のトレッド・ミル)」と名付けました。
トレッド・ミルとは、踏板のことです。近年ではランニングマシンのことをトレッド・ミルというようです。
ランニングマシンは、設定した時間の中で速さを早くしたり遅くしたりできます。最初はつらいランニングでも徐々に順応し、さらに付加をかけたり休めたりと調節することが可能で、変化を加えながら走り続けることができます。
そのように、人生における幸せも不幸せも繰り返されるのだというのが、この満足のトレッド・ミルです。天にも昇るような幸せも、どん底の不幸せも、時間がたてばそのインパクトが薄れて元のベースラインに戻るというのです。
人生の満足度はいつ?
ダニエル・カーネマンは、女性の結婚前後の人生満足度について研究をしています。
この研究ではドイツの女性235名を対象に、結婚する前の4年間と、結婚後の4年間の人生満足度を測定しました。その結果、結婚前から結婚に向けて人生の満足度は高くなっていきました。逆に、結婚後の人生満足度は下がったという結果になりました。
実験の結果、結婚を中心に人生を考えた時、満足度は結婚に向かって満足度が高くなり、結婚後は下がっていくという山なりの形をしたグラフが出来上がりました。つまり、結婚がもたらす満足度は一時的なものであることがわかるのです。
持続時間はどれくらいか
結婚などの人生におけるイベントがあっても、それは結局一時的な幸せに過ぎません。では、他の場合ではどうでしょうか。実は幸せを感じている間の持続時間は短いのです。
例えば、マッサージを受ける時間は15分でも60分でも幸福感に違いがないとされています。これでは、60分のマッサージを一回受けるより、15分のマッサージを4回受けるほうが、幸福感を4回感じることができるので得なのではないか、という考え方をすることもできます。
そして、幸せな感情がいつまでも長く続かないように、不幸せなマイナスの感情も長くは続かないのです。
人間は、困難な出来事にあってつらい経験をしても、多くの場合はその不幸な感情のまま続くわけではなく、そこから回復するような心理が働くようになっています。つらい経験をしたときや悲しいことがあった時、そこから立ち直るために前向きな見通しやよい方向へ転換しようとする変化を生み出そうとしてくれる心の働きを持っているのです。
まとめ
ランニングマシンが速さを変えながらずっと動き続けるように、私たちの感情も幸せと不幸せをころころと変えながら生活をしています。いつまでも不幸せが続くことはないのです。
出来事のその時その時で、自分で勝手に「今は幸せ」「今は不幸せ」と判断しているにすぎません。
もし、自分が不幸せだと感じている人がいるならば、それは一時的な感情だから心配する必要はありません。