「認知症」は、ものごとを認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受けて、社会生活に支障をきたす状態のことをいいます。
早期発見すれば回復することもありますが、治療しなければ症状は進み、現状維持はできても回復の見込みはほぼ無くなってしまいます。
そうならないためにも、初期の症状を確認して早期発見することが大切です。
10のチェックリストを家族で確認して、早期発見するように心がけましょう。
また、認知症予防を予防するための効果的な6つの習慣も紹介しているので、そちらもご覧ください。
そもそも認知症とは?
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症をひきおこす原因にはさまざまありますが、アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。
次いで多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症です。
高齢化によって認知症の患者が増えてきており、今後も増加の一方をたどるといわれています。
家族が認知症になることも、もはや他人事ではありません。
日本では、かつては痴呆とよばれていましたが、2004年に厚生労働省の用語検討会によって「認知症」へ言い換えられました。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多い症状で、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。
症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。
不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害されて、最終的には日常生活のもっとも単純な作業を行う能力さえも失われてしまいます。
軽度認知障害
軽度認知障害とは、認知症の一歩手前の状態です。
認知症における物忘れのような記憶障害がでて、本人からも家族からも訴えがあるものの、症状は軽度です。
また、正常な日常生活は送れているという状態です。
認知症ではありませんが、認知機能の低下が起こっているので、認知症の一歩手前の段階であり、認知症の予備軍といえます。
放置していれば、いずれは認知症を発症すると考えられているので、家族の人が日常生活が送れていてもおかしいと感じたら、早い目に診察を受けるようにした方がいいでしょう。
認知症の初期症状チェック
老化によるもの忘れの場合、忘れているのはできごとの一部であり、もの忘れをしていることの自覚はできています。
できごとの前後の記憶やヒントがあると忘れていた内容を思い出すことができる場合は、認知症によるもの忘れではありません。
一方で認知症によるもの忘れの場合、できごとの一部ではなく、すべての記憶が抜け落ちています。
前後の記憶やヒントから出来事を思い出すことが難しく、もの忘れをしている自覚もありません。
認知症は時間の経過とともに症状が進行していくので、生活に支障が出る前に早期の発見が必要です。
日常の生活で初期症状に気がついたときは、専門の病院で認知症の検査や診察を受けるようにしましょう。
認知症は、早期発見をすれば症状の進行を遅らせることができますが、そもそも認知症の初期症状かどうかを発見すること自体が難しいといわれています。
さらに、ちょっとおかしいと思っていても、「まさか自分の親が・・・」と、認知症になっていることを家族の人が認めたがらないケースも少なくありません。
認知症の初期症状「10のチェックリスト」
進行を遅らせることができても、回復するとなると見込めないのが認知症です。
手遅れにならないために、初期症状によくみられる症状を紹介します。
家族で確認し、チェックしておきましょう。
1、ものや人の名前が出てこなくなる
年をとると、ものや人の名前が出てきにくくなります。
そんな中でも、家族や親戚の名前、身近で毎日使っているようなものの名前が出てこなくなった場合は、注意が必要です。
また、今話していた人が誰だったかわからなくなったときも、認知症の初期症状だと考えられます。
2、日付や曜日がわからなくなる
カレンダーをみても、今日が何月何日の何曜日か、わからなくなります。
例えば、デイサービスに行く日ではないにもかかわらず準備をして行こうとしたり、約束の日付がわからなくなったりします。
3、同じことを何度も言う
自分では同じことを何度も言ってるつもりはないでしょう。
しかし、まわりから指摘されることはありませんか。
判断力や理解力が衰えてくるので、話す内容も同じものが増えてくるのです。
4、財布の中の小銭が増える
思考力が衰えているので、買い物のときに小銭などの細かいお金で支払うことができなくなります。
お札で支払うようになり、結果として財布が釣り銭の小銭で一杯になってきます。
5、同じものを何度も買ってくる
自分の家に何があるのか、自分が何を持っているのかわからなくなります。
たとえば、冷蔵庫の中になにが残っているか覚えることができなくなっているので、同じ食材を何度も買ってくるようになります。
同じ本が何冊もあるなどする場合も同様です。
6、歩くスピードが遅くなる
認知症になると、筋肉量も少なくなってきます。
そのため、昔と比べて歩くスピードも遅くなってきます。
また、歩き方がおかしくなる人も少なからずみられます。
7、身なりを気にしなくなる
認知症になると、だんだんと意欲がなくなってきます。
やる気が無くなり、やるべきことが後回しになります。
身なりを気にしなくなるのも、その特徴の表れです。
下着を替えなかったり、お風呂に入らなくなってくると、注意が必要です。
8、だんだん痩せてくる
意欲がなくなるのと同様に、食欲もなくなってきます。
食べる量がへってくるので、だんだん痩せてきます。
9、部屋が散らかっている
片付けができなくなります。
きれい好きの人でも、掃除をしなくなっていきます。
10、人柄が変わる
前とくらべて怒りっぽくなったり、周りへの気遣いができず頑固になったりするのも、認知症の症状かもしれません。
また、一人になることをこわがったりさみしがったりする場合も気をつけた方がいいでしょう。
「昔はこんな人じゃなかった」と思ったら、気をつけるようにしましょう。
認知症の早期発見ができるシステムを使ってみる
認知症は、早期発見をすることで、その症状の進行を遅らせることができます。
しかし、家族ではその判断をつけることが難しく、気がついたときには重度の認知症になってしまっていたり、認知症なわけがないと言って信じないケースもあります。
そうなると、病院へ行って診察することも遅れてしまい、どうにもならなくなってしまいます。
そこで、高齢者の生活を見守るサービスを利用しておくと安心です。
例えば「見守りプラス認知のアイシル」という、見守り機能に認知機能低下の早期の気づき支援機能を搭載した高齢者支援システムがあります。
これは、センサーを用いた見守り機能があり、24時間365日にわたって健康状態を管理してくれます。
また、押しボタンを用いた認知機能低下の早期の気づき支援機能を搭載しているので、高齢者ご自身や家族は認知機能の変化の状況を簡単に把握することができます。
とくに一人暮らしの生活をしている高齢者が多い現在、このように離れていても様子を見守ってくれているというのはとても安心できます。
大切な家族の様子をいつでも見守ってくれると同時に、認知症の早期発見にもつながるサービスは、現在とても増えてきています。
高齢となっていく本人にとっても、見守る家族にとっても、このようなサービスがあると安心です。
認知症の初期症状を家族でチェック
自分が認知症かどうかというチェックは難しいかもしれません。
当てはまっても「自分が認知症なわけがない」と信じないケースが多いのです。
自分ひとりでチェックするのではなく、家族で一緒にチェックして確認することが大切です。
認知症は、進行を遅らせることはできても、回復することは難しい病気です。
これまでと同じように日常生活を送っていくために、早期発見を心がけましょう。