「終活」と聞くと、70代80代の高齢者がするもので、だんだんと近くなってきた「死の準備」というイメージがあると思います。
だから高校生にとって終活をするということは、まだまだ早いようにも感じるし、また縁起でもないことをいうなと思うかもしれません。
しかし、高校生で終活をすることは全く早くもなく、むしろどんどん積極的に活動していくべきだと考えています。
ここでは、高校生の終活について、そのメリットと具体的な方法を紹介します。
もし、終活をはじめるタイミングについて困っているなら、こちらでそのポイントを紹介しているので、あわせてご確認ください。
終活ってなに?
そもそも「終活」とは何でしょうか。
終活とは、自分に「もしも」のことがあったとき、家族や周りの人が困らないように前もって準備しておくと同時に、「死」を意識することで自分の生き方を見つめなおし生きがいのある人生を歩んでいくための活動です。
わかりやすく言うと、終活には次の二つの意味があります。
- 「もしも」のときのための準備
- ライフプランの設計
「死」を考えることは縁起でもないことのように考えられがちですが、終活は前向きに生きていくためのポジティブな活動として、高齢者に限らず多くの世代で行われているのです。
「もしも」はいつ来るかわからない
自分に「もしも」のことがあったらどうしようと、考えたことはありますか?
「人はいつ死ぬかわからない」
「いつ病気になって寝たきりになるかわからない」
「いつどんな事故や災害に合うかわからない」
こんなことは当たり前のことです。高校生にならずとも、小学生だって「人はいつ死ぬかわからない」ことくらい知っています。
しかし「人いつ死ぬかわからない」ということを知っていながら、なぜ家族が突然死んだときに悲しむのでしょうか。当たり前のことが当たり前に起こっただけなのに、なぜ苦しいのでしょうか。
それは、知識として知っているだけであって、実感として感じていないからです。「人はいつ死ぬかわからない」と言いながら、「高校生だからまだ死ぬことはないだろう」と考えているから、予想外のことが起こった時に悲しむのです。
私が初めて「死」を意識したのは高校生の時でした。
「また明日」と言って別れた同級生が、次の日に学校へ来なかったのです。そして朝のホームルームの時に担任の先生から、彼の死が告げられました。
昨日まで普通に何も変わらず接していた高校生の男の子が、ある日突然いなくなるのです。高校生なんて、まだまだ人生これからだ考えるのが当たり前です。しかし、そんな当たり前が崩れたのです。
「ああ、人って死ぬんだな」
と、年齢問わずに人はいつか死ぬんだと言うことを実感した出来事でした。
この記事を読んでいる人も、いつか自分は死ぬんだということを知っていながらも、身体の奥底からそれを実感している人は少ないのではないでしょうか。
でも、そんなことはありません。「もしも」はいつくるかわかりません。そのときのために、しっかりと準備をしておきましょう。
ライフプランを考え直す機会
若いうちは、自分のやりたいことに夢中で将来のことはあまり考えない人が多いような気がします。
特に高校生の間は、学校の事業を始め、部活、バイト、恋愛と、今していることに一生懸命で、5年後10年後と先のことまで考えて行動することは少ないのではないでしょうか。
そこで、一度立ち止まって「死」を意識してみましょう。
するとどうでしょうか。「明日死ぬかもしれない」と考えたとき、今のままの生き方で本当にいいでしょうか。これで満足だと言い切れるでしょうか。
「死」を意識するということは、実は後悔することなく生きていくための原動力になります。「後悔を残したまま死にたくない」という思いが、自分自身の生き方を見直すきっかけになるのです。
「高校生だから」まだ終活は関係ないとか、「若いから」終活は早いということがないというのは、そういうことです。
これからのライフプランを設計していくためのきっかけとなるのが、終活なのです。
高校生の終活のメリット
高校生で終活を始めることに、どんなメリットがあるでしょうか。
それは、次の3つです。
- ライフプランの設計
- 断捨離ができる
- 不安の軽減
ライフプランの設計
終活をすることは、ライフプランの設計をしていくということでもあります。
「いつか死ななければいけない」ということをしっかりと理解し、それまでにどのように生きていきたいかを考えることができます。
後悔しない人生を送っていくために、将来はどんな人間になりたいか。どんな仕事について、どのように働いていきたいか。どこでどんなふうに過ごしていきたいか。そして、その将来の目標に向けて、今自分が何をしなければいけないか。
高校生のうちは、将来のことについてまだまだ具体的なビジョンが思いつかない人も多いと思います。
しかし「後悔しない生き方」を考えるだけでも、おのずと行動は変わってくるでしょう。
断捨離ができる
「もしも」の時のために、自分のモノを整理することを「生前整理」といいます。
必要なモノは何かと考えて、不要なものは処分をしてしまい、必要なモノだけを残していきます。
「もしも」のことがあったら、家族がとても苦労することの中に「遺品の整理」があります。遺品は故人や家族の思い出もつまっているものが多いので処分するのにためらったり、見たくもなかったモノを見てしまい遺族がケンカになったりすることもあります。
そうならないためにモノの整理をあらかじめしておくことが必要です。
これをすることで、必然的に断捨離を行うことになります。自分に必要なモノだけを手元においておくことで、余計な感情をうみだすことなく、気持ちよく過ごすことができます。
将来に向けて生活環境を変えていくことも、終活で大切なことなのです。
不安の軽減
「もしも」を考えたとき、大きな不安に襲われることがあるでしょう。
死んだらどうなるのか
家族は何を思うのか
持っているモノはどうなるのか
終末期医療はどうするか
介護はどうするか
遺骨はどうなるのか
自分ではどうしようもないことが、心配で心配で仕方なくなります。
終活をしておくことは、自分に「もしも」のことがあったときにどうしてほしいか希望を残しておくことができます。
あらかじめ希望を伝えておくことで、自分になにかあっても家族や周りの人がきちんと対処してくれると安心することができます。
また、スマホやパソコンなどのデータに見られたくないものがあったときなども、終活をして整理をしておけばその心配も軽減できるので安心です。
高校生の終活でやるべきこと
それでは、具体的に高校生の終活でやるべきことは何でしょうか。
それは次の3つです。
- エンディングノートの作成
- 生前整理
- デジタル終活
エンディングノートの作成
「終活」=「エンディングノート」といっても過言ではありません。終活を始めるときは、まずはエンディングノートを作成するところから始めましょう。
エンディングノートには、たくさんの記入すべき項目があります。
- 基本的な情報(生年月日や血液型など)
- 自分史
- 連絡先のリスト
- 友人などの交友関係
- 財産について(貯金や証券など)
- 保険
- 年金
- 介護
- 終末医療
- 葬儀
- お墓
- 大切な人へのメッセージ
しかし、全部書く必要はありません。あなたが今、家族に残しておきたいもの、伝えておきたいことを書いておけば十分です。
あえていくつかピックアップするならば、高校生で必要なことといえば次のようなことです。
- 自分の基本的な情報
- 連絡先リスト
- 財産について
- 介護、医療について
- メッセージ
高校生ならバイトをしている人は多いのではないでしょうか。そこで、バイトのお給料を振り込んでもらうために、新しく通帳を作る場合が多いように思います。通帳の場所や暗証番号、印鑑など、それらに関する必要事項を記録しておくようにしましょう。
また、突然の病気や事故などで、寝たきりになることもあります。もしそうなったとき、「延命治療をどうするか」を記録しておくといいでしょう。
高校生のように若くして寝たきりになってしまうと、家族の人は医療をどのようにすすめていけば悩みます。高齢者なら仕方がないと割り切れる人でも、10代となると「もしかしたら病気が治るかも」と、ほぼゼロパーセントでも望みをかけてしまいたくなるものです。
できるだけ家族の負担が少なくなるように、できる限りの希望を残しておきましょう。
ライフプランの設計
エンディングノートを書いたら、ライフプランの設計をしていきましょう。
頭の中で想像してイメージすることも大事ですが、文字に書いて具体化することが重要です。
エンディングノートには、これからしたいことを書く欄や、フリースペースなどがあります。そういうところに、自分のライフプランを書いていきましょう。
まだまだ具体的なイメージがわかない人は、「やりたいことリスト」をつくるといいでしょう。ざっくりと箇条書きで十分です。これからの人生でやりたいことを書いていきましょう。
やりたいことが見つかると、今度はそれに向けて自分がやるべきことを考えていきましょう。目標の実現に向けて、何が必要で何が不要か考えていくことで、自然と自分のライフプランが見えてきます。
後悔しない人生を送るために、しっかりとライフプランを設計していきましょう。
生前整理
先にも少し触れましたが、前もって自分のモノを整理することを「生前整理」といいます。いわゆる断捨離です。
これは高校生のうちからでもできることです。
持っているモノを整理する時には、次の3つのことに注意して整理をすれば、すすめていきやすいでしょう。
- 使うもの
- 使わないもの
- 捨てるかどうか迷うもの
このとき、あまり深く考えてはいけません。考えてしまうと余分な時間がかかってしまう上に、とりあえず残しておこうという思いが生まれやすくなるので、片付けもすすみません。
直感的に、使うか使わないかを判断しましょう。
デジタル終活
デジタル終活とは、デジタル機器に焦点をあてて終活をすすめていくことをいいます。
現代社会でパソコンやスマホなどのデジタル機器には、たくさんの情報が詰まっています。特にスマホには連絡先や写真、パスワードやIDなどもスマホに記録している人も多いでしょう。
自分に「もしも」のことがあったとき、家族の人は必ずあなたのスマホを見ようとします。
あなたは、スマホ残して死ねますか?
見られてもいいものと、見られては困るものを仕分けて整理しておきましょう。
特にスマホを開くためのパスワードは、必ずエンディングノートなどのアナログ媒体にメモをしておきましょう。スマホの中身を整理していても、それを開くことができなければそもそも意味がありません。
デジタル情報を整理するときは、
- 残さないと家族がこまるもの
- 残すと家族が困るもの
- 残さなくても特に困らないもの
に分けて整理するといいでしょう。
不用意にデータを残していて、残された家族があとからスマホの中身を見て、それがもとでケンカになったというケースも珍しくありません。
「もしも」は突然やってきます。明日スマホの中身を見られるようなことになっても大丈夫なように、今から整理しておくようにしましょう。
漫画で見る終活
まだ終活にピンとこない人は、漫画から終活を初めて見てはいかがでしょうか?
自称“余命いくばく”の不思議系美少女・律に
振り回されっぱなしの見た目“ヤンキー”、中身“ガチ乙女”の沙羅。
ギャグみたいな毎日を過ごす二人は歪ながらも友情を育んでいく。
彼女たちに残された時間があと少しだなんてウソだよね…。
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内容はまったく重くない、コメディ漫画。
余命幾ばくという少女はいつもテンションが高く、元気いっぱいです。
「終活」と聞くとネガティブなイメージを想像しがちですが、まったくそんなことはなく、むしろ終活は前向きに生きていくための活動であることが、この漫画からよくわかります。
シリアスなシーンは少ないですが、自分の生き方など多くのことを考えさせられる漫画です。
高校生の終活は早くない!
「もしも」がいつ訪れるかわからないことを考えると、高校生から終活をすることはまったく早くはありません。
また、高校生でライフプランを設計することは必要なことです。そのための原動力が終活です。
よりよい人生を送っていくためにも、「死」を意識して今の生き方を振り返り、前向きな終活をすすめていきましょう。