「お花見」が恋しい季節になりました。
今年はどこに行って楽しみましょうか?誰と行って、何を食べましょうか?
考えるだけでもワクワクしてきますね。
ところで、日本では昔から「お花見」が行われてきましたが、花見はいつから始まったのでしょうか。
ここでは、お花見の歴史や由来について紹介します。
お花見の歴史と由来
お花見とは?
お花見とは、主として桜の花を観賞するために酒宴などを催すことをいいます。
桜の花を観賞するので「 観桜」ともいいます。
また、鑑賞する花は桜ではなく、梅や桃の花の場合もあります。
お花見は現在、日本人にとってはおなじみの行事となっていますが、かつては定められた節日(季節の変わり目にあたって祝事をする日)に行われていました。
禊の行事でもあった磯遊びなどと同様の意味を持って実施されていたといわれています。
また、日本は世界で最も桜の種類が多く、美しい花を咲かせる品種が多いことで知られています。
古くから多くの園芸品種が生み出されていて、その代表がオオシマザクラとエドヒガンをかけ合わせてできたソメイヨシノです。
ソメイヨシノは幕末の頃、江戸の染井村(現在の巣鴨・駒込)で売り出されたことからその名が付いたといわれています。
桜といえば「ソメイヨシノ」と思いつくくらい、今では有名な品種になっていますね。
はじめて行われたお花見はいつ?
はじめて行われたお花見はいつでしょうか。
平安時代の812年2月12日(太陽暦では4月1日)に嵯峨天皇(786~842)が神泉苑で催した宴「花宴の節」が日本で初めて行われたお花見だといわれています。
平安時代初期に編纂された勅撰史書『日本後紀』にその記述が残っているのです。
お花見といえば「梅」だった
今ではお花見といえば「桜」が当たり前ですが、昔はそうではなかったことをご存じですか?
もともと中国には、寒さに耐えて花を咲かせる梅を縁起の良いめでたい木として尊ぶ風習がありました。
そのため日本でも、古くはお花見といえば梅の花だったのです。
その後、平安時代から梅よりも桜のことを詠む歌が増えていきました。
次第にお花見といえば、桜となったといわれています。
お花見と豊臣秀吉との関係
安土桃山時代の1598年3月15日、豊臣秀吉が大規模なお花見を開催しました。
これを「醍醐の花見」といわれています。
秀吉の妻の淀殿や北政所など、約1300人もの女性を招いて、醍醐寺の三宝館で開催されたといわれています。
醍醐山の山腹に至るまでの伽藍の全体に700本の桜が植樹されました。
このお花見は「北野大茶湯」とならぶ秀吉の一世一代の催し物としてしられています。
庶民のお花見はいつから?
お花見もともと、貴族のたしなみとしておこなわれていました。
こういう風流な行事は、貴族から始まることがほとんどです。
これが、庶民によって盛んにお花見が行われるようになったのは、江戸時代になってからです。
第8代将軍の徳川吉宗は、庶民に娯楽を与えるために桜の植樹を行いました。
隅田川堤、御殿山、飛鳥山など、江戸の各地に桜の名所が生まれたことにより、庶民の間でも活発にお花見が行われるようになったのです。
江戸時代に庶民がお花見を楽しむ様子は、「長屋の花見(貧乏花見)」「花見の仇討ち(桜の宮)」「花見酒」などの落語にも描かれています。
これらの落語は、今でも演じられていて、ネタの中でも名作になっていますね。
花見だんごの由来
お花見の時に欠かせないのが、「花見だんご」ではないでしょうか。
庶民は桜を観賞しながら宴会をひらき、花見だんごや桜餅などを食べて楽しみました。
花見だんごとは、紅、白、緑の3色のだんごを串に刺したものです。
江戸時代からお花見の季節になると、茶店で売りに出されました。
風流よりも実利を選ぶことのたとえである「花よりだんご」ということわざは、この花見だんごから生まれたといわれています。
お花見で食べる桜餅
お花見のときには、花見だんごの他に桜餅が食べられました。
桜餅には、関東と関西で違いがあるとされています。
関東の桜餅は、薄く焼いた小麦粉の皮を2つに折ってあんを包み、塩漬けの桜の葉を巻いて作ります。
江戸・向島の長命寺の門番が考案したもので、門前で売り出したのが始まりといわれています。
一方、関西の桜餅は、あんを蒸した道明寺粉で包み、塩漬けの桜の葉をまいたものとされています。
花見だんごも、桜餅も、お花見をしながら食べるとそれだけでグッとおいしさが増すような気がしますね。
お花見をするときのマナー
お花見をするときには、マナーを守って行いましょう。
自分たちのグループ以外にもたくさんの人がいるうえに、桜の木という自然を相手に時間を過ごすのがお花見です。
桜だけでなく、人も傷つけないように気をつけるようにしましょう。
お花見のゴミは必ず持ち帰る
ニュースで取り上げられることもありますが、ゴミは必ず持ち帰りましょう。
ゴミの後片付けができない人は、花見をする資格がないといっても過言ではありません。
会場によってはゴミ箱などが用意されている場合もありますが、基本的にはゴミは持ち帰るのがマナーです。
ゴミの後始末はきちんとしましょう。
お花見の場所取り
桜の根は浅いところに張っているので、とても傷つきやすいものです。
根っこを踏んでしまって、傷つけてしまうことが多いといわれていいます。
そこで、シートを敷く時には、桜の根元は避けるようにしましょう。
また、桜は枝が折れてしまうと、それが原因で枯れてしまうこともあります。
いつまでもきれいな花が咲くように、みんなで気をつけていくようにしましょう。
お花見で火を使う場合
お花見の会場によっては火の使用が禁止されている場所があります。
お花見で火を使用する場合は、使用が許されている場所なのかどうか、前もってしっかり確認しておきましょう。
もし火を使うことができる場所であっても、周囲の人の迷惑にならないよう、くれぐれも気をつけてください。
当然、周りの草木も燃やすことのないように、火事にしないようにしなければいけません。
ましてや使い終わったゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。
お花見で周りの人とのトラブルに注意する
お花見をすると、お酒を飲む人もいるかもしれません。
みんなで楽しくお酒を飲めば、普段よりも浮かれてしまうこともあるでしょう。
しかし、大声で騒いだり、他の人に絡んだりしてはいけません。
また、住宅街など近隣に住んで生活をしている人もいます。
早めに解散するなど、十分に配慮して行うようにしましょう。
最後に
お花見の歴史と由来について紹介しました。
古来より花を愛でてきた日本人として、花見はとても風流のあるものです。
歴史や由来を知り、大切に守っていきましょう。