ブッダの教え『ダンマパダ(法句)』について、ここでは「第二章」にある法句31について、その内容を紹介します。
怠けることを恐れ努力を喜ぶ
怠けるこに恐れを見て
努めることを喜ぶ比丘は
微細・粗大の束縛を
あたかも火のように焼いていく
法句31
ある比丘の物語
この法は、ブッダがジェータ林(祇園精舎)に住んでおられたとき、ある比丘について説かれたものです。
かれはブッダのもとで、阿羅漢にいたるための瞑想対象を語ってもらい、森に入って努力し精進しました。しかし、阿羅漢果を得ることができず、ブッダのもとへ戻ろうとしました。
その途中、森が大火事になっているのを見て、あるハゲ山に登って坐りました。そして、森を焼いている火を見て瞑想の対象を得ることができました。
「この火は大小の燃料を焼いていく。そのように、聖道智の火も大小の束縛を焼いてゆくことができる」と。
そのときブッダは、自分の居場所に坐ったまま、かれの心の動きを察知して、
「比丘よ、そのとおりです。大小の束縛を智慧の火によって焼き、生じえないものにすることができます」と光を放たれました。
さらに、その比丘の前に坐っているかのように、この偈を唱えられました。
偈のおわりに、その比丘は坐ったまますべての束縛を断ち、無碍解と阿羅漢果を得たといいます。
これがこの因縁話です。
努力を喜ぶ
怠け、放逸をするということは、その縁によって地獄に落ちる畏れがあるということです。
もしかしたら、このままでは地獄に落ちるかもしれないと恐れを見て、努力して不放逸を喜び不放逸によって過ごす人は、苦しみから解放されることができます。
それは、炎が森を焼くように、われわれを輪廻する束縛を、智慧の炎によって焼き尽くすようなものです。
怠ることなく努力し続ける人にのみ、智慧がそなわって、一切の煩悩を克服することができるのです。
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