30代になると、結婚や出産、職場での昇進など、人生の転機やライフスタイルの変化がおこりやすい時期です。
このような人生の転換期は、終活を始めるのに絶好のタイミングです。
「30代で終活は早い」「まだまだ自分には関係ない」と思われがちですが、終活をすることによって自分自身の生き方そのものを見つめ直すことができるのです。
後悔しない生き方ができるように、早いうちから終活を初めてライフプランを設計していきましょう。
ここでは30代の終活について、その方法やメリットを紹介します。
もし、終活を始めるタイミングについて困っているようでしたら、こちらでそのポイントを紹介しているので、あわせてご覧ください。
30代の終活について
そもそも終活とは何でしょうか。
実は、終活には2つの意味合いがあります。
- 「もしも」のための準備
- ライフプランの再設計
終活は、自分が死ぬための準備であり、若い世代の人にはまだまだ関係のないことのように思われがちです。
しかし、「死」を見つめることは、自分の生き方そのものにもつながります。
仕事もプライベートも、活発に活動している現役世代の30代だからこそ、終活を通してライフプランを設計していくことが大切です。
「もしも」のための準備
自分に「もしも」のことがいつ来るかわかりません。人間は生きていれば必ず命がつきてしまいます。そして、そのときは突然やってくるのです。
もし今、突然自分が倒れてしまい、家族と会話をすることができなくなったらどうでしょうか。
仕事の引き継ぎはどうする?
通帳はどこにある?
証券は持ってる?
保険は入ってる?
延命措置はしてほしい?
介護はどうする?
遺産は誰に渡す?
お墓はどうする?
などなど、これらのことを一切伝えることができなくなってしまいます。
こうなったとき、困るのは家族です。突然のことで驚きと悲しみに暮れている中、日常生活に関わる手続きなどもしていかなければいけません。
それなのに、なにがどこにあるのか、どれだけあるのかが、全くわからないという状態になるのです。
自分に突然「もしも」のことがあったときのために、家族が困らないように前もって準備しておくことが、終活のひとつの目的です。
ライフプランの再設計
終活をするもう一つの理由は、ライフプランの再設計です。
今あなたは、生きがいを持って毎日過ごしているでしょうか?本当に充実した日々を送っているでしょうか?無駄なく時間を有効に使って有意義な人生を過ごしているでしょうか?
このように考えたとき、本当に生きがいを持って有意義な毎日を過ごしていると感じている人は、それほど多くないのではないでしょうか。
「もしも」のことを考えるということは、「死」を意識するということです。
自分がもしも明日死んでしまうなら、自分の人生は後悔のない、よい人生だったといえるでしょうか?
「明日死ぬかもしれない」と「死」を意識すると、「もっといい生活にしたい」「もっといろんなことをしたい」「後悔のないように過ごしたい」と、死ぬまでにやりたいことがはっきりと浮かび上がってきます。
年をとってからではできないことも、30代だからできるということがたくさんあります。
終活は、ライフプランを見直して再設計していくためのきっかけとなるのです。
30代の終活のメリット
30代で終活をすることは、まったく早いものではありません。
さらにいえば、結婚や出産、昇進など人生の転機が訪れやすい世代だからこそ、しっかりと準備をして取り組んでおく必要があるといえるでしょう。
30代で終活をするには、次のようなメリットがあります。
- これまでの人生を振り返ることができる
- これからの生き方を考え直すことができる
- 家族の負担軽減
これまでの人生を振り返ることができる
30代はまだ若いといわれますが、30年生きてきたらそれだけの人生がその人にはあるわけです。10年だろうが30年だろうが80年だろうが、その人が生きてきた人生はその人だけの大切なものです。
いいことも悪いことも、楽しいことも苦しいことも、いろいろなことがたくさんあったでしょう。
しかし、仕事に子育てにと、とにかく忙しい30代はなかなかこれまでの出来事をふりかえることができません。
振り返ることがなければ、あっという間に時間が過ぎて、あっという間に年を取り、やり残したことがあることに気がついたときには、もう体力も気力もない老後になってしまうということになりかねません。
そんなむなしい人生を送りたくはないでしょう。
今まで自分がどんな風に過ごしてきたか、誰と出会って何を感じ、何を思って生きてきたか、時間を作ってじっくりと振り返ってみてみることが、今後のよい人生を開いていくための一歩になるのです。
これからの人生を考えなおすことができる
これまでの人生を振り返り、過去の自分と向き合うことができたら、今度は未来に目を向けてみましょう。
今のままの自分でいいでしょうか。
今の仕事でいいでしょうか。
今のライフスタイルで満足でしょうか。
終活の基本は「死」を意識し、見つめることです。この先、いつ自分に死が訪れるかわからないと考えると、できるだけ後悔しない生き方をしたいと思うのが当たり前ではないでしょうか。
終活をすることで、やりたいことやこれからの目標が明確になってきます。目標が明確になると、資産の見直しやライフプランの再設計をしていくきっかけにもなってきます。
家族の負担軽減になる
「もしも」のことはいつやってくるかわかりません。もしかしたら、今この記事を読みながら倒れてしまうことだってあり得なくはないのです。
突然自分が倒れてしまったとき、残された家族はどうなるでしょうか。
医療はどうする?介護は?資産は?お金は?お葬式は?
これらのすべてに、本人の意思が反映されることなく、家族だけで決めてすすめていかなければいけません。
自分の考えていることや、お金など持っているものなど、何も知ることがないままそのような状況になってしまうと。家族にとっては大きな負担になってしまいます。
終末期医療のことや介護などに付いての希望、お金や資産のありかなど、あらかじめ記録するなどして準備をしておくことで、家族の負担は大きく減らすことができるのです。
30代の終活ですべきこと
今まで見てきたように、終活は30代でも早すぎることなく、今からでも初めていくべきことがわかると思います。
それでは、どのように進めていけばいいのでしょうか。
30代の終活は具体的に次のことをしていけばいいでしょう。
- エンディングノートを書く
- デジタル終活
- 生前整理
- 人間関係の整理
- ライフプランの設計
- 資産設計
エンディングノートを書く
エンディングノートは、終活の代名詞ともいわれるほど、終活には欠かせないものです。
「終活をする」=「エンディングノートを書く」といっても過言ではないでしょう。
終活を始めるときは、まずエンディングノートを作成するところから始めましょう。
ノートに書く内容は次のようなことです。
- 自分のこと
- 医療についての希望
- 介護についての希望
- お葬式について
- お墓について
- 財産の記録
- 遺言書について
- 家族にメッセージ
などです。
あまり難しく考えなくて大丈夫です。考えていることをそのまま書けばいいのです。興味がないことは書かなくてもいいです。そのうちに書く必要が出てきたときに書けばいいのです。
エンディングノートは、その存在を知っていても書いている人はほとんどいません。その理由のひとつに、書くのが大変に感じるところです。
しかしエンディングノートは、法的拘束力を持たないぶん、気楽にかけるところが大きなメリットです。
あれもこれもと深く考えすぎずに、今自分が必要なことや、家族に今これだけは伝えておきたいことなどを書いていけば十分です。
デジタル終活
終活をすすめていくなかで、パソコンやスマホなどのデジタル情報の整理を忘れてはいけません。
現代ではスマホひとつで仕事ができる時代になりました。また、プライベートな情報も、すべてその中に保存していくことができます。
特に30代では、スマホがなければ何もできないくらい、生活の中で重要ものになっています。
これらのデジタル情報に関する整理を行っていくことを「デジタル終活」といいます。
「あなたは、スマホ残して死ねますか?」
自分が死んでしまったあと、残されたスマホを家族に見せることができますか?遺族がスマホの中を見たことで、家族間でわだかまりができたというケースもあります。
また反対に、仕事で必要なデータを見ることができず、職場での業務に支障が出るということもめずらしくありません。
必要なものは残し、必要ないものは消去し、もしものときに家族や周りの人が困らないように、デジタル情報の整理はしっかりとしておきましょう。
生前整理
生きているうちに身の回りの整理をしておきましょう。
生前整理で必要なのはこの4つです。
- モノの整理
- ココロの整理
- 情報の整理
- 整理の継続
身の回りのモノで、それが必要なモノか不要なモノかは、本人しかわかりません。
突然のことがあったとき、家族はそれらをどのように扱っていいかわからず困ることがあります。特に写真のような思い出深いものは、残された家族にとっても処分していいかどうか迷ってしまう原因にもなります。
また逆に、「これだけは残しておきたい」というモノを家族の人が処分してしまい、けんかになるということも珍しくありません。
くわしくはこちらの記事をご覧ください。
人間関係の整理
自分の持っているモノや自分のココロの整理をすると同時に、人間関係も見直しいていきましょう。
中学や高校、大学など、学生時代の思い出はとても大切なものです。卒業してからしばらくのうちは、友達づきあいも頻繁にしていたでしょう。
しかし、30代ともなれば、それぞれ仕事や家庭の都合で会うことも少なくなり、今ではまったく連絡も取らないような人もいるのではないでしょうか。
もし、煩わしい人間関係があるなら、思い切って捨ててしまうのがいいでしょう。
本当に必要な人は誰か、死ぬまで付き合っていきたい人を見極めて、深く付き合っていくようにしていきましょう。
ライフプランの再設計
自分の過去と向き合い、自分のこれまでの生き方を見直すことができたら、今度はこれからの生き方をもう一度見直していきましょう。
今の生き方は自分に合っているか
どんな風に生きていきたいか
死ぬまでにしたいことは何か
など、これからの未来に向けて、もう一度ライフプランを見直していきましょう。
30代は、人生のなかでもイベントがたくさんある世代です。結婚、出産、子育て、昇進、転勤、起業など、どんなことがおこっても不思議ではありません。
また逆にいえば、これらのイベントを起こそうと思えば起こすことができるくらい、活発な世代でもあるのです。
しかし、イベントが多いからこそ、小さな失敗が大きな後悔を生んでしまうことにもなりかねません。
そうならないように、しっかりとライフプランを再設計して、よりよい未来のために考えるようにしましょう。
資産設計
いいライフプランをもっていても、やっぱりどうしてもお金を持っていなければどうしようもないということもあります。
例えば、「将来は外国の一等地で優雅に余生を送りたい」と願っても、それをするだけのお金がなければ意味がありません。
ライフプランの設計と、資産設計は、切っても切り離せない関係にあります。現状を見極めて、将来の希望に向けてしっかりと資産を作っていくようにしましょう。
そのためには、まず自分が今持っている資産を確認するところから始める必要があります。
預金はいくらあるのか
証券はどれだけ持っているのか
保険にどれだけ費用がかかっているのか
収入はどれくらいで支出はどれだけあるのか
など、現状を見直しましょう。不要なものは解約をするなどして、本当に必要な最低限のものだけに絞って持つようにします。
もし、資産の設計や資産を運用することに不安があるなら、プロに相談してもいいでしょう。お金のこととなると、今までと違う事をすることは少なからず抵抗があると思います。
自分で運用することで、もし損をしてしまったら・・・
そのような心配をするなら、思い切ってプロに依頼してしまいましょう。
まとめ
終活は、「もしも」の時を見据えて準備すると同時に、生きがいを持って生きていくための活動のことです。
30代で終活は早いと思われがちですが、「死」を意識することは自分の生き方を見直すことにもつながります。
30代では、終活をすることによって
- これまでの人生を振り返ることができる
- これからの人生を考えなおすことができる
- 家族の負担軽減になる
のがメリットです。
ライフイベントの多い30代だからこそ、自分自身の生き方を考え直すために、前向きに終活に取り組んでいくようにしましょう。